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04

俺は教室に入り自分の席を探す。俺は二期選抜の出願先変更をしたので受験番号が後ろから3つ目の237番だった。237番の席は案の定後ろから3番目のところだった。俺はそこへ向かって歩き出した。


俺は机の上にかばんをおろして辺りの様子を見回してみる。席に座って参考書を読んでいる人や友達と固まって問題の出し合いをしていたりしている。大輔とは別の教室だったようだ。


俺はかばんから参考書を取り出し、付箋をつけておいた苦手な部分を確認する。遅く来たからあまり時間がないが大丈夫だろう。昨日の夜に徹夜で勉強したことが頭の中に残っている。それに出願先変更で1ランク下の進学校にしたから受かる自信ある。まぁ、ランクを下げたことは悔しかったが朝にいいことがあったからよかったと思う。


がらがらがら


試験官が教室に入って来る。席を離れていた人達が自分の席に戻っていく。試験官は若い男で顔が整っている。ただ、身長が低かった。俺は身長が高い方ではないがこの試験官の方が低いようだ。顔と身長がミスマッチだ。

心の中で少し馬鹿にした。残念なイケメンだと心の中で思った。その試験官は受験に関する注意事項をはつらつとした声で説明し始めた。


説明が終わり、最初の試験の国語の問題用紙と答案用紙が配られる。試験官が全員に行き届いているか確認する。返事はない。行き届いているということだろう。時計を確認する。試験開始まで2分程度ある。俺は自分に頭の中で絶対出来ると言い聞かせた。


はじめ!

試験官の合図により試験官が始まった。俺は答案用紙にまっ先に名前を書く。中学校の定期テストで名前の記入忘れがあって注意されたことがあるからだ。名前を確認し問題をとき始めた。



やめ!

試験官が終了の合図を出す。最後の教科の英語が終わった。一斉にペンを置く音がする。試験官が回答用紙を回収していく。俺はとてもよくできたと思う。元々自信があったが、この出来栄えなら余裕だと思った。正直、時間が余って少し眠くなってしまった。まぁ、解いてから眠くなったのなら問題ない。


俺はかばんに筆箱をしまい、かばんを背負って1人教室を出る。疲れたから早く家帰って寝たかった。俺は靴を履き替え外に出る。自転車置き場に向かおうとすると朝の彼女が視界に入った。これは運命を感じずにはいられない。俺は、試験の出来栄えを聞こうと後ろから話しかけてみた。

「ねぇ、試験どうだった?」

彼女は俺が話しかけて来たことに驚いているみたいだった。しかしすぐに返事をしてくる。

「それなりかなぁ、 自信はちょっとだけあるよ」

「俺も自信あるよ」

こんな会話をしていると目の前に車が止まった。

「迎え来たから帰るね」

「あぁ、それじゃ」

「一緒の高校行けるといいね」

彼女はそう言って車に乗って行ってしまった。その頬は心なしか赤く染まっているような気がした。


俺は自転車の鍵を開け、スタンドを跳ね上げて、サドルにまたがる。早く帰りたかったので急いで家に向かった。ここから家までそこそこかかるので飛ばした。



結果発表の日が来た。結果はもちろん合格だった。しかし、また彼女に会えると思っていたが会うことが出来なかった。彼女に会って合格を確認して、一緒の学校に行けるなって言いたかった…



「咲太!買って来たぜぇ!」


俺は現実に引き戻される。大輔からパンをうと飲み物を受け取って食べ始める。食べながら小説を読もうとしていたが全然読めなかった。彼女のことが気になって読む気になれない。


彼女は今何をしているのだろうか。そのことが頭の中を周り続けていた。


午後の授業に入っても頭の中から彼女のことが離れず、授業の内容が頭に入ってこない。俺はペンを置いて机に突っ伏して寝る体勢になる。寝て頭の中を整理することにした。目を閉じて思考を停止させる。少しずつ眠くなってくる。そして、眠りに落ちた。


きーんこんかーこーん

5時間目終了のチャイムがなり授業が終わった。俺は伸びをして目覚める。少し気持ちがすっきりした。そして、次の時間の準備をしようと時間割をみる。


「おーい!咲太!きがえよーぜ!」

大輔が声をかけてきた。そういえば次は体育だったか。男子は基本みんなベランダで着替えている。みんなぞろぞろとベランダに向かう。俺も重い腰をあげて着替えに行く。正直寝たあとだからだるい。確か大輔も寝てたはずだが、あいつは体育になると元気になる。まぁ、いっつもテンションは高いのだけど。


着替え終わり、体育館に向かう。今日の体育はバスケだったはずだ。すごくやりたくない。俺はバスケは好きじゃない。なぜかというと怪我をしやすいからだ。バスケットボールは重いし硬い。突き指する可能性がある。だから好きじゃない。見学しようと思ったが、成績も落としたくないし、見学する理由を考えるのもめんどくさい。てことで、とりあえず参加しておくことにした。


体育の授業は退屈だった。俺のチームにはバスケ部がいてそいつの独壇場だったから。まぁ、やる気がないから嬉しいではあるが。授業終了の時間が来て整列して先生に挨拶して終わる。みんな一斉に教室に戻っていく。俺は自販機のところに寄り道した。体育ではあんまり動いてなかったが、喉が乾いた。缶コーヒーを買うことにした。もちろんブラックコーヒーだ。缶コーヒーはだいたいブラックにしている。俺はコーヒーの缶を持って教室に戻った。


缶コーヒーを開け飲む。うまい。この苦味がうまい。そう思いながらため息をついた。

「うっわ!ブラック飲んでる!カッコつけかよ!」

後ろから声が聞こえ振り返る。やっぱりこいつだったか。うんざりしながら返事をする。

「カッコつけじゃねぇよ、好きで飲んでんだよ」

「嘘つけ!そんな苦いの美味しいわけないじゃん!」

「あー、お子ちゃまにはこれの良さがわからないんですかー」

「お子ちゃまじゃないし!」

「へいへーい」


いちいちうるさい女だな。俺は女子と話すのが苦手だがこいつは別だ。こいつは五十嶋みなみ、俺の幼なじみで小学校から一緒だ。いわば腐れ縁と言うやつだ。こいつは学級委員をやっている。俺とは正反対の目立ちたがり屋だ。ただ、そんなに目立ちたがらなくても目立つ。スタイルはいいし、顔も整っている。一般的に見て可愛い。既に何度か告られたそうだ。でもすべて断っているらしい。なぜなのだろうか。単に好みじゃないだけかもしれないが。


帰りのSHRが終わった。掃除に行くとしよう。掃除場所は、音楽室だ。音楽室掃除は楽でいい。ある程度ちゃんとやっておけば先生になにも言われないからだ。掃除用具入れからほうきを取り出し、掃除をし始める。


掃除を終え教室に戻る。かばんに荷物を詰めていると、

「部活行こーぜ!」

大輔が走ってきた。そう言えば部活で今日は集まりがあったのだった。もう今日は帰って寝たい気分だったのに。仕方が無い。部活に行くとしよう。



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