02
学校に到着した。
がちゃん!
俺は自転車を駐輪場に止め、昇降口の時計を見る。時計の針は8時半を指していた。
「やっべぇ!急がねーと!」
猛スピードで昇降口に駆け込み上履きに履き替え教室を目指す。俺は一年生だから3階だ。
階段を駆け登る。教室が見えてきた。教室に少しばかり騒がしい。まだ担任は来てないようだった。扉を開け教室の一番奥の自分の席に向かう。
「おっ!咲太おは!」
俺の入室に気づいたのか挨拶してくる。この朝からテンションの高い奴は俺の友達の佐々木大輔だ。こいつとは、中学からの友達で部活も同じ水泳部に所属している。俺は気だるげに挨拶を返す。
「ああ、おはよう」
「なんだよテンション低いなぁー」
「お前がテンションたけぇーんだよ」
「そんなんじゃ女の子にモテないぜ?」
「余計なお世話だ」
俺は朝が得意ではないのだ。なのにこんなハイテンションな奴にはついていけない。だが、さっき大輔が言ったのは本当かもしれない。実際あいつは女子に人気がある。まぁ、話しかけやすいやつだしそれはわかる。だけど、そういうやつに言われるとちょっと辛いものだ。俺は女子と話すのが好きじゃない。いや、強がってしまった。本当は苦手だ。だから基本的にはいっつも男子の友達と行動している。俺もあんなふうに話せばモテんのかなぁ。
「SHRはじめるぞー」
扉が開き担任が入ってきた。窓際や教室のうしろの方にかたまっていた人達が散らばって自分の席に座る。俺の席の脇にいた大輔も離れていく。ほどなくしてSHRが始まる。高校のSHRでは中学とは違い、出欠確認で点呼がない。これはちょっと嬉しい点だ。さっきも言ったように俺は朝が得意ではない。だから中学の時の出欠確認の点呼は声が小さくて2、3回聞き直されることがほとんどだった。。まじで辛かった。
先生が連絡事項を伝えSHRが終わる。みんな1時間目の用意をし始める。俺も同じように準備する。1時間目は古典のようだ。教科書とかノートとかを用意し、授業が始まるのを待っていた。
キーンコーンカーンコーン
授業終了のチャイムがなる。午前中の授業がすべて終わった。これから昼休みだ。教室から勢いよく何人かの生徒が出ていく。おそらくお弁当を購買に買いに行く人達だろう。いっつもは自分で弁当を作ってもっていってるのだが、俺も今日は寝坊したから購買に買いに行くしかない。お昼の購買はとてつもなく混雑している。俺は人混みが好きじゃない。だからいつも購買に買いに行っている大輔に頼むことにした。
「適当にパン買ってきてくれ、ついでに飲み物もよろしく」
そう言って俺はお金を手渡す。
「りょーかいしたー」
俺の手から500円をとり大輔は教室を出ていった。俺はスマートフォンを取り出し、Web小説を読み始める。俺はラブコメ小説を読むのが好きだ。主人公がヒロインと出会い恋に発展する。そういうベタな展開に憧れることがある。
「あ、そう言えばあの子は…」
俺は思い出す。あの子との出会いはとてもラブコメ小説にありそうな出会いだった。
俺があの子と出会ったのは今から3ヶ月前…
〜つづく〜