第1章 隣のばあちゃんの話
株屋でピアノ講師で駅ピアノ、街ピアノのインフルエンサーで27歳の世界的に有名男、円城寺大輔である。「先生、これからピアノのレッスンですか?相談したい事ありまして、後で時間頂けないでしょうか?」隣に住む吉岡桜ばあちゃんが玄関先で大輔に話かけて来た。「今なら空いて居ます。どうぞお入り下さい。」大輔は菊の目を見つめた。「宜しいですか?」桜は大輔の目を見て微笑んだ。「先生、失礼します。」ばあちゃんが大輔の顔を見て微笑んだ。「いらっしゃい。僕で分かりますかね?さあ、あがって下さい。」大輔はスリッパを出して、ばあちゃんの顔を見てニコリ笑った。「先生?は固定電話お持ちですか?加入権がありましたよね。電話引くときの72000円。あれって戻してくれないのでしょうかね?遺族年金だけじゃ毎月きつくて。返してもらいたいのですが?毎月切り詰めて生活しているんですが?もうギリギリでね。」桜ばあちゃんは大輔の目を見て苦笑いを浮かべた。「あれって返ってこないんですよ。業者が買い取ってくれる事もあったらしいけど、今はあまりやっていないみたいです。今、ネットで調べたのですが、そう書いてあります。」大輔はスマホを検索して、桜ばあちゃんの顔を見た。「後で僕のピアノの生徒の白河由紀弁護士に相談してみましょう?」大輔はばあちゃんの目を見つめた。「ばあちゃん、株やりませんか?少ない投資で出来ますから。興味がありましたらいつでも言って下さい。」大輔はばあちゃんの目を見つめた。「ありがとう。先生。その時は相談にのって下さい。」ばあちゃんは大輔の目を見てニコリ笑った。「遠慮なく言って下さい。」大輔はばあちゃんの目を見て優しく微笑んだ。「話を聞いてくれて有り難うよ。ピアノは午後からかな?何時も素敵なメロディーが聞こえてくる。ベートーヴェンのピアノソナタ悲愴の子、上手いね。」ばあちゃんは大輔の目を見て優しく微笑んだ。「宮沢舞依ちゃんと言って小学5年生です。自宅でも毎日練習してくれています。真面目な女の子です。将来、僕見たいなピアノの先生になりたいと言ってくれています。なんか、ピアノ講師冥利につきます。儲からないから辞めとけと言ってますが音大行くと言って聞きません。ピアノ講師で良かったと思います。」大輔はばあちゃんの目を見てニヤけた。「お茶ご馳走様でした。お邪魔しました。」ばあちゃんは大輔の目を見て微笑んで立ち上がった。「いえ、また来て下さい。これから白河弁護士に相談してきます。」大輔はばあちゃんの目を見て優しく微笑んだ。ばあちゃんは玄関を出て行った。大輔は家の鍵を閉めて車に乗って白河由紀の弁護士事務所へと車を走らせた。由紀の事務所に着くとアポを取ってなかったので少し待たされた。しばらくすると由紀がエレベーターから降りて来るのが見えた。大輔が受付の椅子に座っていると「円城寺先生、お待たせいたしました。事務所へどうぞ!」大輔は由紀の後をついて事務所まで案内された。応接室に入った。「田中さん、お茶お願い!」由紀は事務員の田中の顔を見た。「円城寺先生、お座り下さい。」由紀は大輔を座るように手でうながした。「失礼します。」大輔はソファーに座った。「由紀ちゃん、立派な事務所だね。」大輔は由紀の目を見て優しく微笑んだ。「かっこだけはつけなきゃね。独立して1年だし。」由紀は大輔の目を見てニコリ微笑んだ。由紀は東大法学部を首席で卒業し、優秀な弁護士である。東京の大手法律事務所に5年間席を置き勉強して1年前にこのつくば市に個人事務所を開いたばかりだった。大輔と由紀は高校時代からの親友で友達だった。由紀は弁護士と結婚し、女の子どもが一人居た。由紀は高校時代から大輔のピアノのファンだった。高校時代は良く音楽室で大輔のピアノを聞いていた。特にショパンとベートーヴェンが好きだった。「円城寺先生、今日は何か御用ですか?」由紀は大輔の目を見つめた。「御用というものじゃないけど隣のばあちゃんからNTTの電話の加入権を買い取ってもらえないものかと相談受けてね。君なら何かわかるかなと思ってね。馳せ参じました。」大輔は由紀の目をじっと見つめた。「あっ!それね?前の事務所で同じ相談を受けた先輩が居たわ!それは、弁護士にとってタブーなんだよ。それを追求しようとした先輩は弁護士資格停止されちゃたんだ。3年間。弁護士会の圧力だって!その人、何処の事務所も雇ってもらえなくて個人事務所立ち上げたけど嫌がらせで弁護士辞めちゃたわよ。だから弁護士はみんなやりたがらない。NTTと政治家、弁護士で話が出来ているのかもね。NTT株が下がらない為にもたぶん、NTT株を売り時を考えてるのね。アメリカが一枚噛んでる、農協も一緒ね。旦那に相談してみるね。やるかやらないかはそれ次第ね。ごめんなさい。即決出来なくて。私はやってあげたい。こらしめてあげたい。これが今の日本の姿だから一般人が泣くだけの世界だから私達弁護士が助けてあげなきゃね。先生もそう思うでしょ?」由紀は大輔の目をじっと見つめた。「そう思うけど無理はするなよ。」大輔は由紀の目をじっと見つめた。が由紀の目は熱く語っているように見えた。「私に任せて。」と。「由紀ちゃん、相談料はおいくらですか?」大輔は由紀の目をじっと見つめた。「初回相談料は無料です。後は、電話かラインかレッスンの時にお話しましょう。」由紀は大輔の目を見て優しく微笑んだ。「ピアノレッスン、今度、弾きたい曲ありますか?楽譜用意しておきます。」大輔は由紀の目をじっと見つめた。「ショパン【op25-11】エチュードの木枯らしに挑戦したいと思います。もう、楽譜買って練習してます。」由紀は大輔の顔を見てニヤリ微笑んだ。「木枯らしか?あの曲は難易度Fの難しい曲だぞ?前回までやっていたエオリアンハープもそれなりに難しい曲だったけどマスターしたから木枯らしも弾けるだろう。楽しみだ。それに挑戦したいなんて君らしいな!」大輔は由紀の顔を見てニコリ微笑んだ。「今日は忙しいところ急に来てしまって有り難う!」大輔はソファーを立ち上がっり由紀の顔を見て頭を大きく下げた。「いいえ、こちらこそ、何も役にたたなくて申しわけございません。先生のお話、前向きに考えております。私のチャレンジの為、良い話をいただきました。」由紀も立ち上がって笑顔で大輔を見て頭を大きく下げた。「お送りいたします。」由紀は大輔の後を追いかけるように歩きエレベーターに二人は乗った。一階に着くと二人はエレベーターを降りて出入り口を出ると由紀は歩道まで出て大輔の後ろ姿に手を振った。「お気をつけて!」由紀は大輔の後ろ姿に声をかけて大輔が見えなくなるまで手を振っていた。大輔は振り向いたがまだ手を振っていたのが見えた。大輔は大きく分類すればイケメンであり、由紀も良い女だったが二人の間には恋心は高校時代からなかった。ダチだった。今では由紀には弁護士の旦那と可愛い子供がいたから恋心なんて生まれる事はなかった。大輔にも2つ年下の大学から付き合っている松本美緒という彼女が居た。