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第一話「終幕へのテーゼ。これは終わりへのスタート地点だ。」



 太陽が産み落とされ、暗黒の大地に光が宿った時。永遠の夜は終わりを告げ、『朝』という概念が誕生した。


 そして時がたち、人類の祖先、ホモサピエンスが繁栄する。


 そして現在、一人の少年は、この世界の存在に違和感を感じていた。



 「はあ。」


 思わずため息が出た。自分でも意識せずに漏れ出たその息は、二酸化炭素がいつもより多そうな気がした。


 ただの偏見だが、暗い気持ちで生きている人が吐く息は、リアルが満たされている人が吐く息よりも、二酸化炭素の割合が多そうに思える。

 なぜかって。今のは、ただの偏見だから。そこに理由なんてない。偏見ってのは、個人の勝手な印象と、固定概念から派生したものの考え方なんだよ。だから、偏見という行為に理論はないし、発展もない。


 「はあ。」


 気づけば口からまた、ため息を出していた。しかしそれはしょうがないんだ。


 人間ってのは、将来も、現在も、何も空っぽで、その空白を満たす要素もなくて、何も楽しいことがなければ、嫌な気分になる。そのストレスを和らげようと、本能がため息という形で軽くストレス発散しているのならば、ため息を無意識で出すのは当たり前だ。


 だから、通り過ぎた奴が俺がため息出しているのを見て、「キモっ。」っていうのはおかしいんだよ。人間ストレス発散に必要な生理的行動がため息なのに、なんでそれを嫌うんだよ。だからやはり俺はこう考える。



 人は、実際の真実を見ているのではなくて、自分が持つ印象とやらを物差しに見ているのだと。


 みんな独りよがりだ。自分の持つ感性とか、偏見を大事にして行動する。多少は論理的に動く時もあるかもしれないけど、人生にとって大事な瞬間とかは、みんな感情とか偏見とか非論理的なものを頼りに行動する。


 ほら、結婚式とか、告白とか、就職とか、志望校とか。


 それら全ての行動理由は、「好きだから」とか「コレコレの夢があったから」などだろう。なんでこんな気持ちを指針にして、人生における大事な選択をするんだよ。


 感情とか、その時その時、その都度その都度変わってくもんだろ。そんな変わり身の早いやつに任せていいのかよ。無責任にも程があるよ。


 例えばあれだ。明日勉強するって言ったくせに、いざ当日になったら勉強するやる気皆無なやつ。まあ俺のことなんだけど。感情ってそういうものだろ。その時そう感じても、時間が経てば変わってしまう。恋心とかも有名だよな。


 一方、論理は最高だ。論理自体間違っていたら別の話だが、基本論理っていうやつは、時間がたっても変化したりしない。昨日まで、世界は自転しているという事実が、今日になったら急に、地球はもう自転しない。とか言われることはないからな。もし自転止まったら、この世界ごと吹っ飛ぶからすぐに気づくけど。


 だから俺が言いたいのはあれだ。感情は軽すぎて無責任。

 そんな感情で動くっていうのは、悪いことじゃないけど、人生の大事な瞬間の超大事な選択(結婚とか告白とか就職とか志望校とか)で、感情を理由に行動するのは少しばかり軽すぎないか?


 そういうのはせめて論理を元に動くべきじゃないのか。


 後々後悔したくない。だから時間変化で廃れない論理を指針にするのは正しくないか?






 でもな、この世界における一般通念は俺が今言ったことは間違っているっていうんだ。


 「感情で動いて何が悪い。論理とか、機械みたいじゃねえか。何それ、きもい」ってな。


 常識って言うのはそうやって答えるだろう。でもさ、その常識って正しいのか?


 さっきまでの俺の言ってたことはいかにも正しそうだったよな。でも常識くんがいうには、間違っているらしい。なんで間違っているか、それを常識くんは教えてくれない。でも言うんだよ。

 「お前の言ってることはおかしい。」


 ってな。なんでおかしいのか教えてくれないのにさ。


 だから思うんだよ。常識ってやつは感情みたいな非論理的なもので動いてるんじゃないのかって。常識って結構おかしいところあるよなって。


 それで考えてみたんだよ。感情と常識の関係をね。すぐ終わるから聞いてくれ。


 大勢の人が集まって、彼らの感情が統合されてできるものが常識だよな。常識ってどうやってできてる?って聞かれたら、こんな答えになるよな。でさ、その常識を作っている感情って正しいのか?違うよな。変わり身早すぎるもんな。


 昨日までこの人かっこいいって言ってたのに、冷めたらすぐに

「きもい。なんでこの人のことかっこいいと思ってたんだろ。」

 とか言い出すよな。じゃあやっぱ感情って正しいかどうかでいうと、正しくないってなるよな。

 だから今からあえてきっぱり言うことにするよ。感情は正しくない、間違っているって。


 そしたさ、常識ってやつも間違っているよな。多くの人の感情で成り立っているのが常識なら、その基盤である感情が正しくないのであれば、確実に常識も間違っているって。そう、だから常識は間違っているんだよ。



 そしたら、この世に蔓延っていて、みんなが感情以外で行動するときの理由にするであろう常識ってやつも感情の一種ってことになる。

 だから全ての行動理由は感情になる。感情と偏見だけでしか人は動かないのなら、常識も感情と同じようなものだから全部感情だけになる。そしてその感情は間違っているという。だから俺らの行動の理由は全部間違ってるってわかる。


 だったら何が正しいものなんだ?


 でもこう考えることは、良くないことって言われるんだよな。社会の常識で言い換えると、「何あいつ、厨二?きもっ。何考えてるの。バカみたい。」ってこんな感じにバチくそ叩かれるよな。


 常識くんは、その常識くん自身の正しさが危うくなるのを恐れてる。だから、こうやって深読みするやつを叩こうとする。


 だから俺は聞くんだよ。

 「なんできもいと思うの?」って。

 そしたら常識くんは答えられない。答えたとしても上辺だけの言葉だろうし、真に理由に迫ったものなんてない。存在しない。

 だって常識自体、感情っていう上部だけで変わり身の早い無責任な存在なんだから。





 俺の思考は、どんどん進む


 今までのをまとめてみる。



 みんな大事な時ほど感情を理由にして動いていて、その感情っていうのはどこかおかしくて、間違っている。で、それを疑問に思うことは、常識くんからすれば良くない、やめるべきことだって言っているんだ。でもその理由はない。やめろって言ってるけど、真の理由はない。


 まとめた上で考える。なんで常識くんは、やめろやめろ言ってるのかな?なぜ深く考える人を邪魔するのかな?


 それってさ、自分のもろさに気づかれたくないからじゃないのかな?


 常識くんは、自分で自分が正しくないってわかってる。俺がさっき言ったみたいに、正しくない感情という要素でできてるのが常識だから、常識は間違っている。けれどそれを認めたくないんだ。


 みんなに悟られたくないんんだ。自分が正しくないってことに。


 そうなった時に俺らは気づくんだよ。本当はもっと前からわかってたけどさ。


 この世界に蔓延る、人の思考を牛耳る常識って言うのはやっぱり正しくない、間違っているものなんだと、確定できる。常識くん、本人が自分が正しくないって自覚してるから。


 だからこう考える。


 「じゃあ真実を持っているのは何なんだい?」って。


 みんなが正義だと思う常識が真実ではなかったのなら、何が真実なんだよ、って。

 

 僕が思うに神様だろうね。


 神様以外に真実を知る人はいないまである。


 神様なら、この世界の原理も構造も変えられる。だから神様がしたこと全てが真実になる。だから神様ならわかる。何が真実かどうかを。それ以外は知り得ないだろうね。まず神様がいるかどうかもわからないんだから。


 そんな神様は真実を独り占めしてる。僕らには偽物の正しくない『常識』って言うやつを渡して、自分だけが真実を片手に酔いしれてる。


 俺は少し気に食わないと思う。そんな感情を理由に、俺は動く出す。今から起こす行動は、今こうして、気に食わないって思ったこの感情によって動き出すものなんだ。俺はさっきまで罵っていた感情の疼きを理由に動き出す、行動を起こす。


 感情は正しくない。そりゃそうだ、さっき俺が言った。で、今から俺がするのは神様と敵対することなんだ。そりゃ正しくないでしょうよ。だから合ってる。


 でも別にいい。この戦いが、俺の人生を賭ける重要な一瞬なんかにはならないだろうから。

 どうでもいい戦いだろうから、感情が行動理由でもいいんだ。


 だから俺は、神様に言いたい。いつもお天道様はあなたをみてる。そう言われて俺は育った。だから今もあんたは俺のことを見てるんだろ。


 俺の考え一つ残らず覚えてるんだろ?


 じゃあ今からいう言葉もわかるよな?


 「俺は神様、あんたと真実をかけた勝負をするよ。拒否権はなしだ。あんたが真実を独り占めしていたのが悪いからな。あんたに逃げることは許されない。」


 「観念したか?」


 「じゃあ、俺と勝負しようぜ。思考世界っつう、俺に有利な世界でな。」



 

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