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8話 ~登校~

 


 朝のカーテンが開いて強い光が瞼を貫いた。


「朝だよ、今日も学校があるんだから早く起きよう!」


 ゆっくりと目を開けると大きな窓を背にしたルーナが良い笑顔で仁王立ちしていた。


 うーむ、この変わりようはどうしたことだ。ルーナと言えば朝が弱くて一人では起きられないくらいだったのになぁ………。学校に通いだして一週間、環境というのは人を変えるものだ。


「さあ早く!」


 毛布をはぎ取られてしまった、これはもう諦めるしかないか。朝日の中で伸びをして体を起こす。


 最初はかなり心配していた学校生活だけど、思った以上にうまくやれている。ルーナは人見知りなのだけど、向こうから結構気さくに話しかけてきてくれるので徐々に仲が深まっている。


 まあそれも全て俺のおかげだと思っている。


 手のひらサイズの小さなスライムというのは、可愛い。そりゃあもう可愛すぎて子供たちにとってはアイドルみたいなもの。休み時間になるとすぐ皆が集まって来てもう大変なんだ。


「ん」


 ルーナが自分の手を俺の前に差し出してきた。ありがたくその指に噛みついた。


 滲んできた血を舐める。


「美味しい?」


 頷くと、いつものように嬉しそうな顔をした。


「それじゃあ学校へ行く準備をしよう。今日は新しい担任の先生が学校に来るんだから遅刻しちゃったらまずいもんね」


 朝日に照らされた黄色い髪の毛は金色のようにも見える。これからもこの笑顔が続けばいいと思う。


 俺はベッドから華麗に飛び降りた。




 ◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆




 新しい担任がやって来る。


 そうなれば当然といえば当然の反応で、教室の中は朝から落ち着かない空気で溢れている。


「ねぇ、ルーナはどんな先生が来てほしい?」


 ルーナの机に肘をつきながらエイトという名前の少女が聞いてきた。彼女はこのクラスで一番おしゃべりで一番背が低い。男女問わず誰にでもすぐ話しかけてくる積極性を持っていて、ルーナに一番最初に話しかけてきたのも彼女だ。


「あんまり怒らない先生がいいかも………エイトさんは?」


 黄色いふわふわした髪の毛が横に揺れた。多分あの極悪教師の事を思い出しているのだろう。


「呼び捨てで良いってば。私はイケメン、絶対にイケメンの教師が良い。そしたら学校に来るのが毎日に楽しくなるに決まってるよ。だからもう絶対イケメン!」


「なるほど………」


「フォードとシュウキはどうなんだよ?」


「僕?そうだな………僕も怒らない先生が良いな」


 ルーナの後ろの席にいる椅子からはみ出すほどの大柄な少年フォードが穏やかな口調で言った。


「僕は魔法に詳しい先生が良い。この学校には本で分からないところを教えてくれるくらいに魔法に詳しい先生がいないからね」


 フォードの隣の席のシュウキが眼鏡を押し上げた後で言った。このエイト、フォード、シュウキは仲が良く、3人で行動している所をよく見る。性格がバラバラなので合わないんじゃないかと思うのだが、不思議だ。


 そのあともあーだこーだ話しているうちに始業ベルが鳴った。


「ってか遅くない?まさか先生が初日から遅刻ってことは無いよね?」


「そんなわけないでしょ」


「そうだよね………」


 ソワソワと待ち続ける生徒たちだが、まさか新しい担任が教室の扉を開けるのは2時間以上先の未来だという事を予想していた者はいなかった。





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