74話
「そいつは何者だ?」
セトとルーナが訪ねてきたと思ったら、その後ろに白衣を着たオッサンがいたので聞いてみる。なんとなく予想は付いているがリアムは固まっているので俺が話すしかない。
「お医者さんを連れて来ました」
ふわふわの黄色い髪をしたルーナが言った。
昨日話した時にリアムは彼女のことを天使のようだと言っていたが、朝の光に照らされて光るその髪と白い肌は確かに天使に見えなくもない。
「おいしゃ………」
扉の前のリアムからか細い声が聞こえた。
「医者なら大歓迎だ、さあ入ってくれ」
「え、あ、あの………」
セト、ルーナ、医者が家の中に入ってきて困惑しているリアム。
「おはようリアム、昨日ぶりね」
「お、はようございますルーナ様」
「思ったよりも元気そう」
「ありがとうございます、けど、あの、お医者様というのは………」
「昨日言っていたでしょ?自分は皮膚の病気だから外になんか出ないでこのまま暗い地下室で生きていきたいって」
「はい………」
そう、リアムは病気なのだ。体中の皮膚が白くまくれあがって、ぽろぽろとはげれ落ちる病気。
そのせいでリアムは一日中自分の皮膚を掻いていて、夜もあまり良く眠れないし、それを人に見られたくないので、黒い髪の毛で顔を覆っている。
「でも、大丈夫です、わたし。きっと私に触ったら病気が移ってしまいますし、あの、慣れてますから、せっかくお医者様に来ていただいたのは嬉しいです、あのだけど、私はこのままで大丈夫な飲んでーーー」
「私の名前はジェイムズだ、普段は王城で医者をやっているんだが、今日はルーナ王子にどうしても見て欲しい病人がいるからと言われて連れ出されたんだ。まったく昨日も夜中まで忙しかったのだからもう少し寝ていたかったのだがね。まあそんなことはいい、さあ椅子に座って私に見せてみなさい」
リアムは色々と言っていたが、ずかずかと目の前までやって来た医者は有無を言わせぬ調子で言った。
「触らないでください!本当にうつってしまします」
「私は医者だ、そんなことくらいでしっぽを巻いて去るとでも思っているのかね?もしそうだとしたらそれは侮辱だと言っておこう」
「え、いえ、あの………」
リアムはあっという間に椅子に座らされ、顔を覆っている髪の毛を剥がされて、診察が始まってしまった。
「さすがは医者だ、容赦ないな………」
スライムが呟くように言った。
それで分かったが、どうやら人間の医者というのは病気を治してくれるが、その為にはなかなかに強引な種族のようだ。
その体から発するなにやらツンと鼻に付く臭いも嫌な感じで、どうやら俺もリアムと同じく医者を好きにはなれそうも無いと思った。
「やめてください!」
「ほら、いいから大人しくするんだ」
「いやだー!」
「大丈夫よリアム、病気になった時にはちゃんとお医者さんに診てもらって治した方が良いんだから。たとえ少しくらい痛かったり、苦い薬を飲めと言われたとしてもね」
まるで母親のような口調で語るルーナ。はて、前からこいつはこんな感じだっただろうか。
「まるで姉きどりだな………」
スライムが言った。
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