71話
リアムは焦った。
地下室への扉が開く音がしたと思ったら突然、室内灯が付いた。そして降りてくる足音。
おかしい。
ここに来るのは店主のオカノさん位だけど、その時にはいつも室内灯を付けない。そして降りてくる足音は二人分の物。これはつまりお客さんが私の所に降りて来るという事だ。
どうしよう。
ここは暗くて臭い。そんな所にたったひとりでいる私の姿を見たらどう思うだろう。
気持ち悪いと思われるだろう、不潔だと思われるだろう、それなのにどうしてオカノさんはお客さんを連れてくるんだろう。私なんかを買いたいと思う人なんかいるわけないのに。
お願いだから来ないでほしい。そう強く思っても足音はどんどん階段を下りてくる。
嫌だ、本当に嫌だ。私は牢屋の隅で自分を抱えてうずくまる。こんなことをしたって何の意味も無いことは分かっているけど、私にできるのはこんなことくらいだ。
天使。
階段を使って一段一段降りてくるその女のことを見て一番最初に頭に思い浮かんだ言葉はそれだった。
黄色いふわふわの髪をして汚れなんか一つもないような白い肌、明らかに高級品だと分かる白い洋服、そして整ったきれいな顔。
わたしと同じくらいの歳の女の子なのに、わたしとは全く違う女の子がそこにはいた。
嫌だ。
見られたくない。こんな所にいる汚い私をこの子には見られたくない。嫌だ嫌だ嫌だ………。涙が溢れ出てくる………嫌だ、泣いている姿も見られたくない、嫌だ、嫌だ、嫌だ。
「よお!リアム元気か?」
ここ最近毎日のように聞いている声が突然聞こえてきて、驚きのあまり頭が真っ白になった。
「俺だ、ダグラスだ、迎えに来たんだぞ」
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