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67話

 


 困った困った困った………。


 悪いスライムに嵌められて奴隷探しを頑張っている俺だが、思ったよりも苦戦している。


 一番大変なのが数の多さ。この王都には奴隷商が7つもあって、大きい店だと100人以上も抱えているんだ。


 俺の特殊魔法「サクセス」は対象の成長曲線を見ることが出来るっていうすげえ魔法なんだが、一回使うだけでかなり疲れる。


 だから一日にできるのはせいぜい10人が限界。そうなると現実的には7人までだ。だってそうだろ?限界まで魔力を使っちまったら、敵に襲われた時に逃げることも出来ない。


 さらに金の問題もあるんだ。纏ってる魔力で「おっ!」と思うやつがいても、そういうやつは3千万とか5千万とかで、1千万なんかじゃ買えやしない。


 これは思った以上に長期戦になるぞ、と覚悟を決める。俺はせっかちな悪魔だから、ちまちまやるのは性に合わないんだが、こればっかりはどうしようもない。


 路地裏で絡んできた馬鹿なネズミを脅して、上等な食い物を捨てるレストランの場所は分かったから食い物に困ることは無いし、家に忍び込めば雨風を凌ぐことも出来るから、肉体的には辛くは無い。


 だけど俺はプライドの高い悪魔だ、誰かに縛られたまま生きていくなんて真っ平御免だ。くそ、早いとこ100億ゴールド貯めないといけない。


 今日も日が暮れてから奴隷商に忍び込んで、ひとりひとり奴隷を見極めていく作業の始まりだ。ああもう、どいつもこいつも生気のない顔をしてやがるな。


 しっかし人間ってのはすごいよな、同じ人間を金で売り買いしてる癖して自分たちが正義で世界の中心みたいな顔をしてるからな。自分が悪だと認識すらしていない悪ってやつか、ああ気持ち悪い気持ち悪い。


 そうやっておんなじことを何日も繰り返しているうちに、だんだんと顔を見ただけでそいつが、いい成長曲線を持っているやつなのかどうなのか分かるようになってきた気がする。


 どうやら俺にとってこれはいい修行になっているみたいだ。あのスライムのおかげとは絶対思わないが、頑張って良かったと思う。


 そんなとある日、俺はついに出会った。


 奴隷商の真っ暗闇の地下室、俺ですら鼻を背けたくなる臭いが充満する一番奥牢屋の隅っこ。


 真っ黒髪を伸ばして顔を隠している女。


 真夜中にもかかわらずこの奴隷商の中でただ一人音光らずに俺のことをじっと見つめていた女。


 サクセスを使うまでも無く分かってしまった。


 きっとこいつは強くなる。


「よぉ………お嬢ちゃん、ずいぶんと元気そうじゃないか」


 女の肩がビクッと動いた。


「あなた誰?」


「悪魔だよ」


「え?」


「いずれこの世界を恐怖と混沌で支配する恐るべき魔王になる予定のダグラスってもんだ」


「魔王?そんなに小さいのに………」


「リアム」と記されたプレートのかかる牢屋から、小さな笑い声が聞こえた。





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