62話
学校は大騒ぎ。
貴族、そして王族までもが通う学校が襲撃に会ったのだから当然と言えば当然。主犯格と目される元教員のゴーダが後に語ったところでは、個人的恨みに見せかけた誘拐による身代金の要求が目的だったらしい。
事件がほぼ沈静化したのを見届けたルーナとセトは学校を脱出した。このことを言いだしたのはもちろんセト。大勢の大人から事情を聴かれたりするのが面倒くさかったのだ。
ここは喫茶店。
王都の中でも高級店が並ぶエリア。この喫茶店も料金は高いものの落ち着いた雰囲気があるのでルーナのように身分の高い人間にとっても心地の良い空間を作り出している。
「先生すごかったね」
プリンアラモードを食べているルーナが言う。
「魔法使いってすごいよなぁ」
水を飲みながらカツカレーとグラタンとサラダとパンケーキを勢いよく食べていたセトが少し止まって言う。
「セトもすごかった。急にあんなことが起きたのにすごく落ち着いて、先生に対してもああしようこうしようって意見言えるなんてすごいよ」
「そうですそうです、格好良かったですよ」
「俺はただの生徒だからボルビックと違って責任が無い。だから喋るだけなら簡単だよ」
「照れなくていいよ」
「そうですよ」
「別に照れてるわけじゃ………っていうかお前誰だよ!」
「このおいしそうなやつ一口だけ食べてもいいですか?」
ワインレッドの色をした豪華な造りのテーブルの上に上がって来たのは赤いネズミだった。
「駄目に決まってるだろ」
「一口だけ、一口だけでいいんでお願いしますよ」
「アホか、それだったら全部食われた方がましだ。誰がネズミが食べた後のプリンなんか食うんだよ」
「酷いですよ、そんな差別しなくてもいいじゃないですか」
「当たり前だろ、ネズミなんかばい菌だらけなんだから」
「酷いですよ、うう、酷いです………」
さっきまで笑顔だったネズミがうつむいて声を震わせる。
「ねえちょっとセト、言い過ぎじゃない?」
「何がだよ」
「ほらみてよ、泣いてるじゃないの」
「ルーナはネズミ嫌いじゃないか。前に一度部屋に出た時は叫んでるだけで俺が窓から投げ飛ばしてやったんだぞ?」
「そんなことあったっけ?」
「何知らないふりしてんだよ。しっぽが長くて気持ち悪いって100回ぐらい言ってたじゃないか」
「ちょっとおふたりさん、オイラのためにケンカなんかしないでくださいよ」
「誰がお前のためになんか!」
普段は静かな喫茶店が今だけは非常に騒がしい空間となっていた。
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