56話
カーテンを開けると強烈な朝の光が一気に刺しこんできた。窓の向こうでは昨日の雨の雫を乗せた真っ赤なバラが光に透過されてより一層美しく輝いている。
「うぐぐぐぐぅ………」
ベッドにいる黄色い髪の毛をした少女、第14王子ルーナはうめき声をあげた。
「大丈夫か?」
窓際のスライムが声を掛けた。
「だめ………ぜんぜんだめだよぉ………」
「痛いか?」
「すごいいたいよぉ………」
「なるほどな………それじゃあ学校へ行く準備をしよう」
「ふぇ?!」
「学校だよ学校」
「そんなのむりだよ、だってベッドから立ち上がることも出来ないもん」
首を小刻みに横に動かしながら気持ちを伝えた。
「昨日、見事ボルビック先生から魔女の塔の探索許可をゲットしたルーナ。魔武器と魔力のおかげでAランク探索者をも圧倒する超人的な動きをみせた。しかし!その肉体は運動音痴のぷにゃぷにゃボディーのままであり、超人的な動きに耐えられるはずが無かった。その結果、一時間後には筋肉痛が始まっていたのだ!」
「ねぇなにそれ、誰に解説してるのよ」
「さあ、今日も美しき学び舎へ行こうじゃないか」
「なんか私が苦しんでるのを喜んでない?」
「何を言うんだ、そんなわけないじゃないか」
「そうかな………?」
「さあさあ、今日も勉学に励もうじゃないか」
「せとぉ………学校にお休みの連絡とかできないかな?」
「お休み!?なぜ!?」
「だから!私は一歩も動けないんだってば!」
「ふーむ………」
スライムは考え込む表情になった。
「学校に休みの連絡するのは簡単だ」
「よかったー」
「だけどルーナ、いいのかな?」
「なにが?」
「入学してから今までルーナは結構学校を休んでいるんだよ?」
「それは魔武器に触っちゃって意識が無くなった時だからしょうがないじゃない」
「もちろんそうだ。だけどあんまり学校を休み過ぎるともしかしたら退学っていう事になるかもしれないよ」
「退学!?」
「あるいは留年とか」
「留年!?」
「出席日数が足りないとそういう事になる可能性があるんだ。これは学校のルールだからしょうがない。生徒手帳に書いてあっただろう?」
「ううう………」
「辛いだろうな………皆が2年生になった時にひとりだけ1年生のままなのは………気まずいだろうな………きっと」
「うううううう………」
ベッドの上で唸るルーナ。
「わかったよ!わかった、学校に行くよ」
「おおそうかそうか、さすがはルーナだ」
「ねぇ、もう一回聞いていい?」
「なんだい?」
「私が苦しんでいるのを見て喜んでない?」
「そんなことは全く無いよ」
スライムは笑顔で言った。
それからすぐに、苦しみの声をあげながら必死にベッドから起き上がるルーナの姿があった。
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