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51話

 


 世界一危険なダンジョンと言われる魔女の塔の第一階層に似つかわしくない音が響く。


「んぐんぐんぐんぐんぐ………ぷはーー!」


 ボルビックはビールを一気に流し込んで吠えた。その目尻には涙さえ浮かんでいる。


「うめー!なんだこの喉越し、キレ、最高だ、最高過ぎるじゃねぇか、今までこんなうまい酒は飲んだことがねぇ!」


「さて、今度こそ当たりが来てくれよ」


「おい、無視するなよ。人がせっかく感動してるんだから一緒に喜んでくれてもいいだろう」


 未練がましく缶を逆さにして最後の一滴まで飲もうとしているボルビックを無視して、スライムが宝箱に触手を伸ばして開くと光が漏れだしてきた。


「さっきと同じ色の光だ、なんかハズレっぽいな」


 取り出したのは長方形の紙。


「なんだこれ?」


「モンスターカード、だな」


「オーク、HP90、攻撃力40………これが何の役に立つんだ?」


「飾るんだよ」


「飾る?」


「モンスターカードは色んな種類があって集めてるやつが結構いるんだよな。レアなカードだと数百万で取引されることもあるんだとよ」


「またハズレか」


「そうでもないさ。モンスターカードだったら一番レア度が低いゴブリンだって1枚千ゴールドくらいでは売れるはずだ」


「やっぱり外れだ」


「探索者始めたてのやつにとっては結構嬉しいんだけどな」


「どこがだよこんなもん」


「いやいや、そう馬鹿にしたもんじゃないぞ。なにしろ嵩張らないから何枚でも持って帰れる。気付いた時には結構な金額になってるから嬉しいんだ」


 スライムはため息をついて最後の宝箱に向かった。


「なあなあなあ………ちょっと相談なんだけどさ、このビールってやつがまた出てきたら俺にくれないか?どうせお前は酒飲めないんだろ?」


「よし、次こそ当たり来い!」


「だから無視すんなって!」


 宝箱から光が漏れる。


「うーわ、また同じ色の光だ………」


「さっきから言ってるけど光の色は関係ないと思うぞ」


「これは………」


 宝箱から取り出した。


「果物ナイフ?」


 ボルビックが笑う。


「何言ってんだ、それだって立派な魔武器だ。良かったな、なかなかの当たりだぞ。多分5万くらいでは買い取ってもらえるな」


 ため息をついたスライム。


「魔力補充式ナイフ。一般人でも使うことが出来る、か………」


「ん?」


「魔女の塔は危険度が高い代わりに良い宝が出ると聞いていたんだがこんなもんか………」


「お前、なんでわかるんだよ。魔武器の性能を即座に見破るなんか、よほど腕のいい鑑定士にしか不可能なはずだ


「さすがに上に行ったらもっとましなのが出て来るんだよな。さすがにそうであってほしいな」


 放り投げた魔武器を呑み込んだ。


「おい!お前!魔武器なんか呑み込むもんじゃない!今すぐに吐き出せ」


「さっさと次に行くぞ。ルーナが起きる前に戻らないといけないんだからな」


「ちょっと待てって!」


 魔方陣へ向かうスライムを追いかけるボルビック。もしこの光景を見ている人がいれば、いいコンビに見えるかもしれない………。






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