39話
学校中にチャイムが鳴り響いてお昼休みの時間を知らせてくれた。
「ルーナは今日も弁当か?」
早速話しかけてきたのはクラスメイトのエイト。彼女はこのクラスで一番お喋りで、この学校に来たばかりの時にも一番最初に話しかけに来てくれた生徒だ。
「エイトは今日も屋台ご飯?」
「もっちろん!味はルーナの弁当には負けるけど、これが一番楽で一番早いからな。時は金なりってね」
そう言って笑うエイトの後ろにいる二人の生徒は、フォードとシューキといういつものメンバー。きっとこの二人も校庭にいる屋台で好きなご飯を買ってきて、いつも通り教室で食べるつもりなのだろう
フォードはクラスで一番体の大きくて、いつもニコニコしていて、人を傷つけるような事を言わない穏やかな性格なので、ただいるだけでなぜか雰囲気が良くなる。
シューキは暇さえあればいつも本を読んでいる生徒で、やや理屈っぽくルールにうるさいが、前に王城の図書室を案内したことをきっかけに、最近よく喋るようになっている。
「ご飯食べながらエイトに話したいことがあるんだけどいい?」
「金の話か?」
「うん、そんな感じ」
「オッケー!」
悪戯を相談された悪ガキのような顔をしてエイトたちは昼食を買いに教室を出ていった。
「ドキドキする、どうなるんだろう………」
なるようになるさ、とルーナに対して思念を送る。
「そうだよね」
俺とルーナは思念を送り合うことが出来る。いままで言葉を喋ることが出来なかったセトだが、この特別な力のおかげでルーナと意思疎通ができていたのだ。
「んー卵焼き美味い」
弁当を開けたルーナが早速好物の卵焼きを食べている。なんていうか………食べすぎじゃない?
もちろんいいことではある。出会ったころのルーナはガリガリで顔色が悪かった。今思えばストレスだったのだろう。せっかく美味しそうなご飯が出てきても、ちょっとしか食べることができずに残してしまっていた。
それが俺と一緒にいるうちに完食できるようになって、良かった良かったと思っていた。そしてこのクラスに馴染んで来たくらいから間食が多くなってきた、いわゆるおやつ。いまだって鞄に甘いお菓子を忍ばせている。
今日だって朝ご飯はしっかり食べていたし、その後孤児院で子供達と一緒にスープとパンを食べていたのに、さらにはエイトたちを待ちきれずにもう食べてしまっているし………。
「なに?」
気が付けばルーナがじっとりとした目で見ていた。
知っている。俺は知っているぞ、女性に対して大食いだとか食べ過ぎだとかはもちろん、体形の事を言う事は御法度だということを。
親しき中にも礼儀あり。どんなに仲が良くても、妹でも、言ってはいけないことは言ってはいけないのだ。
なんでもない………。
「本当に?今何か思ってたんじゃないの?」
思念を送っていないにも関わらずルーナは何かを感じ取ったらしい。
思ってないよ。
「………」
そうしているうちにエイトたちが美味しそうな匂いのする包みを持って教室に戻って来た。
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