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37話

 


 ルーナが開けてしまった屋根の大穴から室内に入って見るとそこには大勢の子供達がいた。


「すらいむだー!」


「わーきいろだ、ちっちゃくてきいろのすらいむだー!」


 俺の姿を見た途端に子供達が一斉に騒ぎ出す。これは無理も無いことだ、何しろ今の俺は小さくて黄色くてかわいいスライムなんだから。もうどこに行っても注目の的になってしまうのだ。


「せとぉ………やっちゃったよぉ………」


 子供達に囲まれながら、頭に大きな鍋を被ってびしょびしょになって情けない声をあげている、我が愛しき妹ルーナ。


「これは一体………」


 隣の部屋からやって来たのは恰幅の良い割烹着を着た女性。部屋の中には良い匂いがしている。


「す、すいませぇん………」


 この女性の名前はオマチさんと言って、この孤児院の院長でたったひとりで子供たちの面倒を見ているらしい。いまは丁度朝ごはんの時間でさあこれから皆でスープとパンを食べましょう、という所だったらしい。


 どうしてこんなことになってしまったのかを、ルーナは自分の口でちゃんと説明して謝った。オマチさんは怒っているというよりも呆れている様子だ。


 だからルーナが頭からかぶっていた鍋。あれは子供達とオマチさんの朝ご飯だったという事だ。


 屋根をぶち破って大穴を開けただけじゃなく朝ご飯まで台無しにしてしまうとは、これは相当に罪深い失敗だ。


 ルーナも当然それは分かっているのでシュンとしている。ちょっと前まで浮かれまくって屋根を飛び回っていた姿はどこにもない。


「もう済んだことをうだうだ言うのは好きじゃないから言わないけど、もうこんなことはしちゃ駄目よ?」


「すいませんでした、もう二度としません!」


 ルーナは頭を下げた。


「うん、ちゃんと謝ったんだから許してあげないといけないね」


 さっきから思っていたのだが、このオマチさんというひとは肝っ玉母さんタイプだな。


 走り回ったり喧嘩したり泣いたりしているこの10人くらいいる子供たちの面倒をたった一人で見ているというのも納得だ。もしこれがルーナだった慌てふためいて子供達と一緒に泣いているかもしれない。


「それにしても困ったねぇ………」


 大穴を見上げながらため息をつく。そりゃあそうだ、こんなでかい穴が開いてるところに雨が降ってきたら水浸しになってしまう。


「セト!預けてたお小遣いを出して?」


 ああそうか、それなら何とかなるだろう。


「?」


 俺は口の中に触手を入れて、大金貨を取り出した。


「あなた達は一体………」


 オマチさんは目を真ん丸にしている。





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