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33話

 


 危っぶな!


 唐突にナイフで襲い掛かってきた赤い眼のルーナ。


「ふしゅー………ふしゅー………ふしゅー………」


 ルーナの口から今までで一度も聞いたことが無い息遣いはまるで獣のようだ。


 一体どうした?あの魔武器のせいに決まってる。


 三日月のような真っ赤なナイフ。あれがルーンをおかしくしてしまったようだ。


 魔武器には悪魔の魂が宿っている。魔力を持たないルーナは思いきり影響を受けてしまったらしい。


 けどなぜあんなものを持っているんだ?魔武器が危険であることは最初から分かっているから、ルーナも決して近づかなかった。地震の影響で落ちてきた?


 いやいや、この部屋にある魔武器も魔道具も全て俺が呑み込んだんだ、あんな存在感のあるナイフを見落とすことなんかあるわけない。


「許さん、許さんぞーーー!死ねーーー!」


 口の端から泡を吹きながらまた突っ込んできた。


 速い。


 学校の徒競走で最下位になってしまうルーナとはとても思えないほどの身体能力。


 躱す、躱す、躱す。


 スライムの優れた特性として素早さがある。そのお陰で何とか躱すことが出来ているが、それにしてもなんだこの速さは。


 壁から水が噴き出してきた。


 それも知ったことかとばかりにさらにルーナは突っ込んでくる。目の片隅で見るとナイフで切り裂いた壁から水が噴き出している。


 地下水?


 あのナイフはどんだけの威力があるんだよ。土を切り裂いて地中の地下水にまで到達したのか?一撃も貰うことは出来ない。


「騙しやがって、なにが一緒に逃げようだ。弄びやがって、裏切りやがって、利用しやがってーー!殺す、全員殺すーーー!」


 どうやらナイフに宿った悪魔は誰かに対して非常に恨みを持ったまま死んだらしい。


 知るか!だからってルーナの体を乗っ取るんじゃねぇ!俺に襲い掛かって来るのもお門違いだ。そういうのは本人同士で解決しろや!


 けどどうする?


 俺だって魔力を持っているから戦えないわけじゃない。けど体はルーナだ。得意技の体当たりを食らわせてしまったりしたらルーナはどうなる?


 あの可愛い顔を破壊することはできない。最悪の場合には鼻が顔の内側にめり込んでしまう。


 なんとか………何とか無傷でルーナを止める方法は無いか………。


「雷鳴さん!プッチンです!」


 町辻の緊迫した声が聞こえた。


 プッチン?


「魔道具です!さっき取り込んだ魔道具を使ってください!」


 そうか!


 俺は最初の方に取り込んだ犬の置物の魔道具を口から吐き出してそこに魔力を込める。もちろんルーナの連続攻撃を躱しながらだ。


 そしたら犬は口から一粒の白い錠剤を吐き出した。


「どうして俺を裏切ったんだ、俺の事が好きだと言ってくれてじゃないかカオルーーー!」


 恨みを叫ぶその口に錠剤を投げ入れた。


「ぐもっ!」


「それは眠り薬ですよルーナさん!さっきあなたも一緒に見たあれですよ。あなたはすぐに眠くなります、すぐに眠くなってあっという間に眠ってしまいますよ!ほら、眠くなってきた、眠くなってきましたよー!」


 町辻がまるで催眠術師のようにルーナに向かって語りかける。たしかにあの魔道具には眠りを呼ぶ力があるはずだが、そんなにすぐに効果があるのだろうか?


「ぐ、あ、ふい、卑怯な………」


 最後の方は口ごもりながら、ルーナはその場にゆっくりと崩れ落ちた。


 あっという間に効いたよ………。


「にゃむにゃむにゃむ………」


 その寝顔はいつもの寝顔だ。


「セト、天使様を食べちゃ駄目でしょ………」


 一体何の夢を見ているんだろう。





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