30話
種族にはそれぞれ特性がある。
人間だったら高い知能と器用な指を持っている。そしてセトの種族であるスライムが持つ特性の一つが、体内に亜空間を備えていることだ。
冒険者がスライムを倒すと、その場に様々な金銀財宝が出てきたなんていうおとぎ話があったりもする。よしそれじゃあスライムを倒そうと頑張ってみても実際はそう上手くはいかない。
というのもそれに該当するスライムはごく一握りだから。そしてセトはその要素を持っている。
自分がこの特性を持っていることに気が付いてから何度も実験してみた結果、自分の体よりも大きなベッドなどのものを呑み込んでも違和感は無かったし、好きな時に取り出すことも出来た。
自分でも不思議な感覚なのだが、例えるなら鞄の中に手だけを突っ込んで物を探し出す時のように、見なくも何となくどこに何があるのかが分かるのだ。
最弱と言われるスライムが持っている人間よりも優れた特性。これが今後異世界を生き抜くうえで大いに役に立つことは間違いない。だから今までルーナ以外には教えていない。
けれど絶対というわけではない。十分な利益が得られるのなら知られても構わない。
そしてこれによって最も利益を出す方法として思いついたのが宝物のひとり占め。
本来は誕生日にひとつだけ宝物を貰うことが出来るというルールを王との交渉によって変える。
魔力を持たないルーナには何もできないだろうという思い込みを利用して全てを手に入れる作戦だ。
懸念点としては普通の物は問題なくても、魔道具や魔武器を取り込むことが出来るのかどうかという事。悪魔の魂が籠っているといわれるものを体内に取り込んで大丈夫なのか?
「セト、なにか少しでも異常があったらすぐに吐き出してね?」
ルーナ、そして幽霊たちに見守られながら自分の体調を確認する。漫画や何かでよくありそうなのが、自分の能力を超えて取り込んだら体が爆発するとかいう設定。
こんなことで死ぬわけにはいかない。俺には妹であるルーナを守るという使命があるのだ。
「大丈夫そう?」
今の所、変化は感じられない。
ベッドを呑み込んだ時と同じように痛くもかゆくもないし違和感すらも感じない。
なんだかいけそうだ。
俺は魔道具をもうひとつ呑み込んでみた。
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