27話
「知る」魔法か………。
「はい。この宝物庫を見て確信しました。国の宝として納められているというのに、多くのものについてこれがどういった力を持っているのかが判明していない」
口ひげを生やした幽霊の町辻が語る。
「たしかに資料には「不明」と書かれているものが多いですね」
棚に置かれた小冊子をめくりながらルーナが言う。
これは魔武器や魔道具が危険だから調査に時間がかかるからなのか、それとも判別する術がないからなのか。
「これはまさに宝の持ち腐れというものでしょう。ですから私は「知る」力を持った魔法を望みます。もちろんこのためだけ、というわけではありません。正しい情報というのはいついかなる時にも重要です」
これに関しては誰も反論は無いだろう。
戦争をする場合、その部隊には斥候という情報収集の役割を持った兵士がいる。あるいは映画や何かでよく出てくるスパイ。どちらにしても情報によって戦いを有利にするために存在している。
平時でもテレビ、新聞、雑誌、ラジオ、SNSなど、世の中はとにかく情報に溢れていて、置いていかれると情弱なんて馬鹿にされるくらいだ。
重要性は分かる。
けれど問題はその魔法はかなり負荷が高いのではないか、ということだ。天使は言っていた。「あまりにも強い魔法を望んだ場合、魔力不足で使えないまま一生を終わる可能性もある」と。
「それについては私も考えました。ですので負荷を軽くする単に制限を付ければどうかと考えました」
制限?
「はい。私はこの魔法を自分自身の為だけに使う事はできない、という制限です」
それはどうだ。せっかくの魔法を自分のために使えないなんて面白くないぞ。ここは異世界なんだから派手で格好いい爆炎系の魔法の方が良いんじゃないか?
「いえいえ、私は芦屋家に仕える立場ですので、皆さんのお役に立てれば満足です」
にこやかな表情で言う。にこやかではあるがそこには有無を言わせぬ信念のようなものがある。
「私は正しい情報を「知る」という魔法を希望したいと思います。どうでしょう雷鳴さん、私の考えを認めて頂けますか?」
もちろん。
「ありがとうございます」
町辻の体が光り出した。
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