26話
目をぱちくりしているルーナに幽霊たちがなぜ今ここに出てきたのかをセトが説明する。
①この世界に来る前に白い空間で天使から説明を受けた。
②転生者には本人が望む魔法を与えるというルールがある。
③調子に乗ってあまりにも強い魔法を望んだ場合、魔力不足で使えないまま一生を終わる可能性もあるので、分相応な魔法にした方が良い。
そして3人の幽霊のなかの口ひげを生やした町辻が、望む魔法を何にするのかを決めたから、それについて相談したいという事。
自分で説明しながらかなり複雑で想像力の入る話だと思ったが、ルーナは賢い子なので大体理解してくれたようだった。
「はえー………好きな魔法を手に入れるなんてすごい!けど難しいよね、わたしだったら急に言われても何も思いつかないと思う。セトは何の魔法にしたの?」
それが………決めてないんだ。
「?」
俺もルーナと同じく何も思いつかなかった。強力な魔法が良いのは当たり前だが、使えなかったら何の意味もない。そもそも情報が少なすぎるんだ。
もし最初に強い魔物に出会ってしまった時には、最初に選んでおけばよかったと後悔することになるかもしれないが、それでもすぐに決めることは出来なかった。
「やっぱりそうだよね………」
「いま振り返ってみても英断だったと思います。ある程度情報収集をしたうえで雷鳴さんにとって一番役に立つ魔法にしたいですからね」
っていうかお前ら、あの時は俺にばっかり天使と話をさせたよな?いまだにちょっと恨んでるんだけど。
「いやいや、我々では格というものが足りませんからな。天使様と話をすることが出来るような身分ではありませんよ」
天使と話が出来る格ってなんだよ、俺だってそんなの持ってないぞ。
しばらくの間、セトと町辻は言い合いをした。喧嘩をしているというよりはじゃれあっているという感じだ。それが終わったところでルーナが質問する。
「よくわらないんですけど、皆さんはそんなにセトと一緒にいたいのですか?」
最初は見ただけで驚いて腰を抜かしていたルーナだったが、いまでは幽霊に質問できるくらいになっていた。
「我が岸村家は先祖代々、芦屋家に仕えることを決めていますので」
「はぁ………」
口髭を生やした町辻という幽霊の言葉にルーナは曖昧に頷いた。なんとなくわかるかもしれない。ルーナも王族であるから、代々仕えてくれる家というのはある。
「幽霊になってまでなんてすごいですね………」
「これが私たちにとっては当たり前の事なんですね。子供の頃からそのように教えらえて来ましたから」
「なるほど………」
ルーナ自身も子供の頃から王族としての教育を毎日のように受けてきた。もしかしたらこの幽霊たちと自分は近い存在なのかもしれないと思った。
「というわけで私は魔法を決めました。これがきっと雷鳴さんの今後にとって一番重要となるはずです」
「ちょっと待ってください、発表するのは私がいないときにした方が良いんじゃないですか」
「そんなことありませんよ。そうですね雷鳴さん?」
スライムはゆっくりと頷いた。セトにとってルーナとは友達であり妹であり、この世界で唯一守るべきものなのだ。
「私が望むのは「知る」魔法です」
穏やかながらも確信を持った語り口の町辻が微笑んだ。
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