23話
宝物庫の中に足を踏み入れた。
「う………」
その瞬間に帰りたいと思った。大勢の人間に見られているような感覚。妬み嫉み僻み、様々なマイナスの感情を持った視線が集まって来た。
背後では重たい扉が閉じていく音がする。
深い森の中での有無に包まれたような寒さと心細さに襲われ、ルーナは腕の中のスライムを強く抱きしめた。
大丈夫。
いつもの通り、セトの力強い感情が伝わってきてルーナの心は平静を取り戻していく。普段はワガママで食いしん坊で、いざという時にはとても頼りになる弟だ。
「それじゃあ見ていくね」
入り口から宝物が置かれている棚へ向かって近づく。近づけば近づくほど「むわん」とした空気が濃くなる。
危険度ごとに色分けされた棚には宝物の名前が記載され、小冊子が置かれている。
国の専門家が魔武器や魔道具に関して研究、調査したものをまとめた小冊子だ。さらさらとめくっていくルーナだが物自体には一切触れていない。
宝物庫とは言っているがその実ここは危険な物で溢れている。特に魔武器は魔力を持たない人間が触るのはあまりにも危険、子供の頃から何度も聞かされてきた。
魔武器とは悪魔の魂が棲んでいる武器。だから魔力を通すことで悪魔の力を使うことができ、普通ではない力と効力を発揮することが出来る。
しかしながら相手は悪魔であるから、素直に人間に従うはずが無い。魔武器を手にしてから突然に性格が豹変したり、精神障害になったり、自殺したり………。
危険であることは間違いない。しかしながら人間は魔武器を求める。その強力な火力と効果を求め少しでも強力な魔武器を手に入れようとして死んでいく人間はいつの時代も後を絶たない。
そして自分たちも………。
そのものによって冊子の厚さはまちまちで、薄いものになると名称、効力、危険性、破損の有無など様々な項目が「不明」と書かれ、重さや寄贈された年月日などしか書かれていない。
魔力を流しさえすれば、何かの効力は発するはずだが危険すぎてそれさえも出来ないという事だろうか。
まいったな………。
思ったよりもはるかに「不明」と記載されている魔道具ばかりだ。一体国は何をやっているんだ。ちゃんと調べておかないと使えるものも使えないじゃないか。
「お困りのようですなぁ………」
俺たち以外に誰もいない宝物庫の中で声が聞こえた。
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