22話 ~宝物庫へGO~
長い廊下を歩いて行くルーナとその腕に抱えられている黄色いスライム。先ほどまでと違うのがここが地下であるという事。
カツカツ、と自分の足音が硬質に鳴り響く。空気も湿っていてどこか陰湿な気分にさせられる。それは階層こそ違えど地下には牢獄があると知っているせいだろうか。
ぎゅっとスライムを抱きしめると「大丈夫だ」という意思が伝わって来る。よかった、いつもと同じ。誰にも聞こえなくても自分にだけはセトの声が聞こえる。
「お待ちしておりましたルーナ様」
おかっぱ頭の女と、傷だらけの顔をした二人の兵士が腰に短剣を下げて扉の前に立っている。声を掛けてきたのは女の方。ルーナを怖がらせないようにという配慮だろうか?
「お誕生日プレゼントの件ですね?」
「はい」
「ただいま開錠させていただきますので少々お待ちください」
男の方がポケットから鍵を取り出し、金属でできた重厚な扉のカギ穴に差し込んだ。
「ご存じとは思いますが規則ですので注意点を伝えさせていただきます。この中には魔武器、魔防具、魔道具、その他何か良く分からないものまで収蔵されていますが、触れるだけで精神に異常をきたすなど、極めて重大な危機に陥る場合があります」
「危険な物ごとに色分けされているんですよね」
「その通りです。危険度によって色分けされた棚に配置されていて、赤が最も危険、その次が黄色、その次が青色の順番となっています。青色であっても非常に危険であることは申し添えておきます」
「わかりました。それと今回は私が買替えられるだけの数を貰う事で王の了承を得ているのですが、その件は聞いていますか?」
「もちろんで御座います」
少し機械的な微笑みを浮かべておかっぱ女兵士が頷いた。
「よかった………」
ルーナはホッと胸をなでおろす。もし話が伝わっていなければ一度帰ることになっていただろう。こんなにドキドキすることは出来ればすぐに終わらせてしまいたい。
重そうな扉が開いた。
「あの………」
「なんでしょう」
「お名前は?」
「私達のですか?」
「はい」
「申し訳ありません、王族の方から名前を聞かれたことなどありませんでしたので慌てふためいてしまいました。私の名前はクミンでございます」
「私の名はガルアです」
「クミンさんとガルアさんはこの中には入ってきませんよね?」
「はい。私達には中に入る業務上の権利を与えられておりません。私たちが出来るのは権利なく入ろうとする者の排除です」
「わかりました」
「それでは扉を閉めさせていただきます。もし出たい場合はこの魔道具を使ってお知らせください。私たちに連絡が来るようになっています」
そう言って女兵士がポケットから取り出したのは茹で卵のようなもの。その一番上に赤いボタンのようなものが付いている。
「わかりました」
ドキドキする。
もしこの中に閉じ込められてしまったら、どんなに叫んでも外に届くはずが無い。果たしてこの魔道具はちゃんと機能してくれるのだろうか?
早く行こう。
それはスライムの意志。自分が不安に襲われていることなど知らず、どうやらこのセトはワクワクしているようだ。
思わず笑ってしまった。やはりセトはいつも頼りになる。私にはない勇気を持っているんだ。
「?」
いきなり笑ってしまった私を見て首を傾げる二人の兵士に何でもないと表情で表して、大きく口を開けている宝物庫の中へと入っていく。
さあここからが勝負だ。
セトとふたりで相談してずっと考えてきたこの作戦、私たちの未来のための大事な大事な作戦の一番大事な所に来た。
成功か失敗か、それはやってみないと分からない。
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