13話
薄暗くて少し湿っていて静かで、本の洞窟のような図書室に入ったエイト、フォード、シューキの3人の目の前にいたのは大きなテーブルの後ろに座る老婆。
テーブルの上に顔だけ乗っているように見えるほど小柄で、うめぼしかと思うくらいに顔中が皺だらけだ。
「ヒワさん」
少し得意げなルーナがこの図書室の主と言われるヒワさんを紹介する。
今日のルーナは学校にいる時とは少し違う。俺が知る限りルーナが自宅に友達を招待するというのは初めてだからテンションが上がっているらしい。
「何か読みたい本があったらヒワさんに聞いてね。ヒワさんはこの図書室のどこにどんな本があるかは全部わかってるの。ね、ヒワさん?」
ルーナの問いかけにヒワさんは3ミリくらい頷いた。
「それじゃあ俺は美術の本がいいな」
「エイト、君は本に興味が無かったんじゃないの?ただ王城の中に入りたかっただけでしょ?」
痩せていて背の高いシューキが眉間に皺を寄せながら言う。
「最初は興味なかったよ。けど今通ってきた廊下に絵とか壺とかなんかすごそうなのがあっただろ?あれがどういう作品でいくらくらいの価値があるやつなのか知りたくなったんだよ。大商人を目指す以上は美術品の事も知っとかないといけないからな」
「全く君はお金の事ばかりだな………」
シューキが呆れたようにため息をついた。
「良いだろう別に」
シューキは暇さえあれば本を読んでいるくらい本が好きなので、本を金儲けの道具みたいに考えているエイトのことが理解できないのだろう。
「エイトも本に興味が出てきたんだからいいじゃないの、シューキ」
フォードが穏やかな口調で言う。この3人が一緒にいるとたまにエイトとシューキが言い争いを始める。その時に止めるのはいつもフォードだ。彼は体は大きいけど穏やかでいつもニコニコしているで、学校でもいつもこういう役回りなのだ。
フォードは将来自分の店を持つ料理人になるという夢を持っているが、この感じなら人気店を作れそうな気配がある。
「まあそうさけどさぁ………」
シューキは諦めたように顔を振った。
「美術の本だって、ヒワさん」
ルーナが聞くと、ヒワさんはテーブルの上に置かれた案内図の上に棒を走らせ、ある一点で止めた。
「Gの棚の真ん中ぐらいにあるみたいだよ」
「Gの棚だな、あ、あそこだ」
エイトは美術の本、シューキは魔法についての本、フォードは料理に関する本を教えて貰って、それぞれが目的の本棚に向かって行った。
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