12話 ~友達と王城へ~
「うわーすげーーー!」
立派な両開きの扉が開いた途端、エイトは歓声をあげた。
ここは王城の図書室。第14王子ルーナの案内でやって来たのはクラスメイトのエイト、フォード、シューキの3人。
普通の人がなかなか入ることのできないここは、薄暗くて少し湿っていて静かで、けれど何かがいるような気配がする。まるで本の洞窟のようだ。
「これ全部売ったらいくらになんのかな………」
馬鹿みたいな顔をしたエイトがいう。商人志望の彼女が気になるのはやはり金額のようだ。
「それ僕も今そう思った」
フォードがゆっくりとした口調で言う。クラスで一番体の大きな彼はいつもニコニコしているので人気がある。
「ちょっとふたりとも何を言っているんだよ。こんなすばらしいものを見てそんなくだらない感想持ってちゃ駄目だよ。ここにあるのは知識の結晶なんだ。宝なんだ」
口をとんがらせているのはシューキ。彼は暇さえあればいつも本を読んでいるので、ふたりの反応に我慢できないようだった。
「お宝って言ったら金額だろ?やっぱりシューキも俺と同じじゃんか。本は高いからなぁ、一冊買うだけでも金貨が必要になるんだぞ」
「へーすごいんだねー」
「一番高いのは異世界の本だな。そんなのを買おうと思ったら一冊で大金貨が必要になるよ」
「えーほんとうに?」
「本当本当、金持ちの貴族が喜んで買うんだよ。何にも分かってない癖に見栄の為だけに大金を出すんだ。馬鹿じゃないかと思うよな」
「ちょっとエイト!貴族様の悪口は止めなよ、誰かに聞かれてたら死刑になっちゃう!」
エイトの口を押えたフォードが周りを見渡しながら泣きそうな顔で言う。
「もごごごごごご………」
「ちょっとふたりとも静かにしなきゃ駄目じゃないか。だいたいにしてこう言う場所じゃあんまり大声はもちろん喋り過ぎるのも良くないんだよ。つばが跳んだりしたら本に染みが出来る」
「何でも知ってるお前ならわかるんじゃないの?これ全部だったら大金貨1000枚くらいかなあ?」
「知らないよそんな事!」
シューキは大声をあげた。
「三人とも落ち着いて?」
今にも取っ組み合いを始めそうなところに、黄色いふわふわ髪のルーナが声を掛ける。
その落ち着いて気品のある声は、やはり普通の人間とはどこか違うものがある。
いつもの調子で盛り上がっていた三人もその声を聞いたおかげでようやく落ち着きを取り戻し、個々が学校では無い事を思い出した。
「ごめんな、なんか楽しくなって騒いじゃったよ………」
エイトが頭を下げた。
彼女は声が大きく活発でまるで少年のような子だが、素直な心を持っていて悪いことをしたらちゃんと謝れるのでクラスでも人気のムードメイカーなのだ。
「いまは他の利用者はいないから大丈夫」
ルーナは落ち着いた様子でにっこりと笑った。
「次からは気を付けるよ」
「うん」
ああ、成長しているな。
この学校に来たばかりの時には緊張していて、おしゃべりもあんなにぎこちなかったのになぁ………。
まるで自分の子供の成長を見ている親のような気持になって、セトは心が温かくなった。
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