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月の宮は空を駆ける  作者: 紗倉透
ウェスタード編
4/20

ep.4 国王 アリアン

〜馬車の中〜

(小綺麗な町だな。物乞いもいない、国としての経営は上手くいっているらしいな。)

うるさい程なくにぎやかな町。

(今までエアリオス以外の国に行ったことがないから新鮮だな。あそこはとにかくうるさい。王の性格が国民に似たのか皆んなうるさい。下の人間は上の人間に似ると言うし、ウェスタードの王は落ち着いているんだろうな。)

程なくして馬車が止まり王宮についた。

「ノエル様。王宮に到着しました。」

馬車から降りた。

(アリアン・ウェスタード。今後エアリオスを発展させていく上で重要な国になるだろう。どんな人物か、この目で確かめよう。)

王宮の中はとても静かだったがどこか荘厳な雰囲気があった。

(皆そういうふうに振る舞うよう申し付けられているのか。下々まで手入れが行き届いているようだね。)

「迎賓室でございます。中に王がお待ちなので中にお入りください。」

中に通された。目の前には太陽に焦がされたかのような黄枯茶の肌に藍白色の短髪の男。

(王族の人間は大抵肌は白いと思っていたけど、間違いだったか。世界には色んな人間がいるもんだな。)

「あなたがノエル・アザリンス様ですね。どうぞおかけください。」

ノエルはアリアンに向かい合って座った。

(敬語、僕はそこまで位が高いわけでもないのに、、、)

「俺はウェスタード王国15代目国王のアリアン・ウェスタードです。話はノイスから聞きました。何でも日照りの対策を思い付かれたとか。」

「はい。見せた方が早いのでこちらを見てください。」

懐から手拭いサイズの黒い布を出した。

「これは陽光を抑える魔法をかけてある布です。遮断するのではなく抑制するモノなので農耕には支障はきたしません。」

軽く光に当てて見せたノエル。光が3分の2くらい減ったように見えた。

「おお、これはすごい。是非我が国で使わせて頂きたい。」

「もちろん。複製(コピー)も終わっているので今すぐにでも配布できますよ。」

「何から何まで、どう感謝したらいいのやら、」

(見た目からしてイカつかったが違うようだね。)

「国民の農耕業は国の主要産業なのでとても助かります。農耕ができなければ国民は貧しくなります。国民が貧しくなれば国も貧しくなる。そうしたら国民に対する待遇も悪化して負の連鎖になりかねません。本当に、ありがとうございます。」

(噂通り国民思いの王らしいな。カリスマ性だけで他はダメのウチとは大違いだ。)

「初対面で聞くのは少し酷かもしれませんがノイスの話では魔人と伺っていますが事実なんですか?」

「事実ですね。王は魔人に対する偏見をお持ちで?」

「とんでもない。我が国では魔人は希少、希少であるものは本人が望まないのにも関わらず偏見を持たれたり差別されたりすることがあります。でも俺は魔人や一般人問わず善人は善人、悪人は悪人であると思っています。魔人だからと絶対悪であるとは思っていませんしかといって絶対善であるとも思っていません。そこら辺は個人差があるので。」

「とても聡明な方で安心しました。」

(ちゃんとした考えは持っていて安心した。差別や偏見は持っていないようだし、王がこれなら国民もそのうち変わるだろう。)

「家臣達には魔人は悪であると教えられてきましたがね。」

「そうなのですか。」

「はい。でも魔人=悪と教えた家臣達は皆上流階級の者ばかり。まぁ簡単に言えば頭がカタイ奴らばかりなんですよ。柔らかい者達は魔人=悪ではなく人によって違うと教えられてきましたね。この世に様々な人間がいるように。」

「どの国も頭がカタイ人間はいるんですね。」

「はい。そういえば、ノエル様はどこのご出身で?」

「最近建国されたエアリオスの南東部出身です。生まれたのは建国される前ですけど。」

「エアリオス、ウェスタードの東にある女神の加護によって建国された新興国でしたね。よく女神の加護を得られましたね。」

「そうですね。神は気まぐれとも言いますし、案外何も考えずに加護を与えた可能性もありますよ。」

「ノエル様は面白いですね。ウェスタードでのご予定は既に決まっているのですか?」

「何も決まってはいませんね。」

「よろしければ数ヶ月留まってはいかがでしょう?新興国ともあれば国の基盤ははっきり言ってそこまで強くないでしょう。暫くここに滞在して国のつくり方を学ばれてはいかがですか?」

「そうですね。なら暫くここに留まることにします。」

「良かった、では部屋を用意します。滞在している間は王宮の迎賓館の方に行ってください。」

「分かりました。ありがとうございます。」

「気になる点がございましたらすぐに連絡をください。この国にまつわることなら何でも説明いたします。」

「なら、一つ聞いてもよろしいですか?」

「どうぞ。」

「この国の教育・福祉制度について詳しく聞きたいんですよ。エアリオスは経済は滞りなく行われていますが教育・福祉の分野が手薄です。宜しければウェスタードの教育・福祉の分野について詳しい人に話を伺うことは可能でしょうか?」

「教育と福祉ですか...その分野については俺より王妃の方が詳しいので今から呼びますね。」

(王族が直々に説明?専門の学者ではなく、王族が?できるのか?)

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