ep.end 真相
すぐ終わります。
マーガレットはノエルの腕の中で静かに泣いた。
(ティアの命令でこの国を守ってきたが、もう我慢ならん。この子が大きくなったら、エアリオスを潰す。この子が自分自身を守れるようになるまで、動くことはできない。僕が最後まで生きているという保証もない。もう少し、もう少しの辛抱だ。)
「マーガレット。僕はやることがあるんだ。君は、知り合いの家に行ってもらうことになる。」
「ヤンドールさんは、来ないんですか?」
「ああ。すまないね。」
マーガレットは目を擦って顔を上げた。
「私、強くなります。父さんと母さん、ナユレット達を殺した奴らを屠るために。」
(この目、ティアにどことなく似ているな。さすが片割れ。)
「強くなることはいいことだけどその過程で自分を見失わなうのはよくないからね。」
「はい。分かっています。」
ノエルはガレットを抱き上げてシャーロズ侯爵邸へ向かった。
「今から向かう家には君は親戚だと言う。そして名前も偽名にする。他言はしないで。」
「分かり、ました。」
「ラノン卿。急に押しかけてすまない。この子を預かってくれないか?」
「ノエ、ヤンドール殿。何があったか説明してください。」
久しく聖なる選別が発動したと国内は騒めいていた。
「ヤンドールさん?」
「この子は、僕の親戚だ。身寄りがなく僕が預かっていたのだけどこれから忙しくなるから仕方なく預けにきた。」
「...分かりました。」
ラノンは膝を落としてガレットに目を合わせた。
「歳はいくつかな?」
「8歳です。」
「そうか。ヤンドール殿。この子の名前は?」
「名は、ガレット。ガレット・リンズ。」
「可愛らしい名前だね。うちの次男と同い年だから紹介しよう。」
ラノンはアルスを呼んだ。
「アルス。今日からこの家に住むことになったガレットだ。仲良くしてあげなさい。」
その日が、アルスとガレットの出会いの日となった。
「ラノン。頼んだよ。」
「お気をつけて。」
ノエルはシャーロズ邸を出て自宅に向かい準備を進めた。
思えばこれが全ての始まりだった。ここから、マーガレットが成長して革命を起こしたんだ。
〜ノエル宅〜
(何で影武者の集落の焼き討ちになったのか、その真相は僕でも分からない。僕の権能を向こうが上回っていたんだ。それか、ティアが制限をかけて全て視ることを禁じたのか。恐らく後者なんだろう。wは聖なる称号を所持できない。もとより強欲な者は所持が許されない。)
ノエルは権能に制限をかけて全て視ること禁じられていたのが不思議だった。
(何のための全てを知る者なんだって話だな。)
ノエルは筆を止めた。
(随分と長くなってしまったな。それだけ長く生きてきたと言うわけか。寿命なんてないようなものだし、これから先はもっと生きることになる。多分、リンダやアルス。マーガレット達を見送ることになるだろう。思い出の人がいなくなったら、ティアのところに戻るか。)
その日は綺麗な満月の夜だった。ノエルは窓を開けて空を眺めた。
(月の宮という二つ名を授かってもう何百年。そこらじゅうを駆け回って色々してきた。それこそ、空を駆け回るように。)
ノエルは窓から庭に出た。
「見守ってくれよ。ガリント。」
「受け取ったぜ。“先輩”。」
「ガリント何をしているんですか?早く行きますよ。」
ガリントは“誰か”に着いていき、姿を消した。




