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月の宮は空を駆ける  作者: 紗倉透
影武者の村編
17/20

ep.17 影武者の集落

「はぁ、はぁ、何とか、抜けられたみたいだな。」

ノエルは背中を刺された後、予備に作っておいた分身に中身を移した。

(僕の命をなぜ狙ったのか。それは明白だろう。問題はこれからどうするのかだ。)

死を偽装した以上、ノエルという名前は使えない。

(ティアに聞いてみるか。)

ノエルは夢の世界へ行った。

「ティア。これからどうすればいい?」

「私に聞かれてもですねぇ。」

「暗殺されるまでは予想外だったので助言を求めているんです。どうすればいいんですか。」

「…影武者の村に行ってみてはどうです?何かヒントが得られるかもしれませんよ。」

「そうですね。」

「あなたがリーシェリウスで貰った白銀の扇子、あれは影武者の村で作られたモノらしいので行くのもいいと思いますよ。」

(あの扇子、影武者の村で作られたんだ…確かにあそこで暫く身を隠すのもいいかもな。)

ノエルは影武者の村に行くことを決めた。


「よし、行くか。」

影武者の村へ向かったノエル。


~影武者の村~

「ここが、影武者の村。」

活気に溢れ人々の顔には笑みがあった。

「あ、お客様ですか?」

村から誰か出て来た。

「えっと、」

「お~い!誰か!この人中に連れて行ってやれ!」

「あの、僕は、」

「遠慮なされるな。さ、中へどうぞ。」

半ば連れ込まれるようにノエルは村の中へ入って行った。

(えらく強引、いやなんだろうな。)

「お名前は何て言うんですか?」

「ノエ、」

(いやここでノエルを出しちゃだめだ。適当に何か考えなくちゃ。)

「ノエ?」

「ヤンドール。僕の名前はヤンドール・スキンズ。」

ノエルがヤンドールと名乗ったのはこの時が初めてだった。

「ヤンドール、珍しいお名前ですね。じゃあ、ヤンドール様。ここをご紹介しましょう。ここはディアーニ村。ここだけの話、エアリオスの王族の影武者を担っているんです。」

(ここだけの話ではなくないか?)

「中をご案内しますね。あ、その前に。私の名前はリアレット。リアレット・w・スカーバです。リアとお呼びください。」

リアは深くお辞儀をした。

「じゃあ、リア。案内宜しくお願いします。」

リアは最初に村の鍛冶場へノエルを案内した。

「ここが鍛冶場です。村の外と交易をするためのものを生産しています。」

熱気がぶり返り、職人の額には汗が滲んでいた。

(|長剣≪ロングソード)、短剣、|細剣≪レイピア≫…剣類が多い。こりゃ国の上層部も嫉妬するわな)

「各国の軍部に強い武器を少なく輸出し希少価値を高める事で高い利益を出しているんです。」

「商人魂みたいなやつですね…」

「鍛冶以外にもこの村の産業を支える物があるんです。さ、次へ行きましょう!」

リアはノエルを連れ出した。


~作業場~

「ここは作業場です。主に魔法具を作っています。」

(ここで白銀の扇子が作られたのか。)

職人が静かに木を削り、部品を付け、魔法を付与している。

(手先が器用だな。凄い。)

「鍛冶場で作った武器類と魔法具がうちの産業支える主要なものなんですよ。」

(武器類と魔法具は基本どの国も欲しがるし性能がいいなら尚更儲かるな。これならそのうちこの村は発展することになるだろう。影武者なんだから王族と顔が似ていると噂が立つ可能性がある。できれば目立つのは避けて欲しいんだが、今の上層部を考えたらここまで金を割くことはしないだろう。ともあれば自分たちで稼ぐしかないわけだ。)

「何か興味がある物はありますか?あるなら一つ差し上げますよ!」

「いや、既に一つあります。」

白銀の扇子を懐から出したノエル。

「これ、うちの元最高傑作じゃないですか!勿体無いから保管しておこうと思ったら失くしてどこにあったか分からなかったんですよ!」

「そうですか。それならこれはお返し、」

「いやせっかくなので差し上げますよ。それより良いものができたので。」

(これより良いものってなんだよ。)

「武器や魔法具以外に権能も創れるようになったんですよねー。」

「オリジナルの?」

「そうですよ!」

(権能って、この世界に元々存在しているものが当人に宿るかティアから授けられるかの二択だったんじゃないのか?権能をオリジナルで創るって人間がすることじゃないだろ!この村の全体は来た時に大体把握したけど魔人はいない。つまり一般人が権能を創っているということになる。僕もそんなことしたことないのに凄いな...)

「とはいっても(おさ)くらいですけどね。」

「創れるだけ凄いじゃないか...」 

(権能を創る人間がここにいるってことは、外から狙われる可能性がある。ここに太刀打ちできる人間がいるとは思えない。フラガラッハ、ごめんな。)

「もし、もしあなた方が良ければ、僕をここに暫く泊めてはくれないだろうか。」

「良いですよ!お客様が増えて(おさ)も喜ばれることでしょう!」

「ありがとう。」

ノエルは暫く影武者の村で過ごすことになった。このあとノエルは百年間に渡り影武者の村で過ごすことになるのだった。

(下手に動いたらまた刺されるだろう。今は時を待つしかない。幸い中枢部にはジェインがいる。何かあれば連絡を送るだろう。アイツは僕を信じている。いつか必ず復活すると願っているだろう。その時が来るまで、待ってくれよ。)

ノエルはヤンドールとして影武者の村に滞在し、数多くの偉業を成し遂げた。(ドラゴン)の討伐、海に出た魔物の討伐、異常気象の解決など。名実ともに世界最高峰の魔法士と呼ばれるまでに活動した。そのままの魔力でやれば正体がバレかねないので魔力の性質を変えて様々なことをやった。


 そして、ある時村で双子が生まれた。これが全ての始まりだったのだ。

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