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月の宮は空を駆ける  作者: 紗倉透
影武者の村編
16/20

ep.16 一度目の終わり

ノエルは遠方転移魔法陣で家に到着した。

「あ〜やっぱ落ち着くな。」

家の中に入って紅茶を淹れた。

「この匂い、良いね。」

(このあとは学園を創らなきゃいけないからやることがたくさん。フラガラッハ報告して今こっちがどうなってるか聞いて...まるで雑用係だな。)

「ストレスで禿げそう...まぁそうなったらまた生やせば良いか。」

「ノエル、ノエル!」

ノエル宅にある水晶がフラガラッハを写した。

「何d、ですか?」

「フォニアはどうだった?元気だったか?」

「お元気ですよ。初めて会いましたけど随分と強そうな方ですね。」

「それはそうだろう。この俺が一回も勝てなかった相手だ。」

(学園の話、した方が良いか?いや言ったらダズに先を越される。やめておこう。)

「国交の話も聞いた。どうやら受け入れられたようだな。安心した。エアリオスの後ろ盾ができたのはありがたいことだ。」

「そうですね。」

(あれ、フラガラッハ、こんな首飾り持ってたっけ?)

ノエルは見慣れない首飾りがフラガラッハの首にあるのに気づいた。

「王。その首飾りは誰から貰ったのですか?」

「これか?これはダズから貰ったものだ。」

(この呪印、支配の呪印だ。ダズはフラガラッハを支配しようとしている?それは避けないと。)

フラガラッハの首飾りには支配の呪印が刻まれていた。

「そうですか...それは良かったですね。」

「あぁ。ウェスタードに行ってリーシェリウスに行って、疲れただろう。しっかり休むと良い。」

「そうします。じゃあ。」


「急にかけてくるなよ...まったく。学園の準備もしなきゃいけないんだから。」

魔法で書類を出した。

「土地の書類、学園建設に際する書類。あとは申請するだけだ。こっちに帰ってくる間に書類作れて良かったな。」

ノエルの転移魔法陣は転移中に作業ができるのだ。

「後で王城に行くか。あ〜もう疲れた。明日でいいや。まだ太陽は高いけど寝よう。」

ベッドに入った。


〜夢の世界〜

「今度はちゃんとここに着いた...」

「最近魘されているようですね。」

夢の世界でノエルはソファーに深く座り、ティアは白色アンティーク調の椅子に座って紅茶を飲んでいた。

「子供の泣き声が聞こえるし、焼けた匂いがするし、果てには知らない人の声が聞こえるしで困ってますよまったく。」

ティアは少し悩むような仕草をした。

「子供の泣き声、ですか。」

「もしかして心当たりでもあるんですか?」

「いや、ありません。早くその悪夢、終わるといいですね。」

「本当にそうですねぇ。」

(まったく、人の気も知らないで。)

「早く報告に行ったらどうですか?」

「もー分かりましたよ!せっかちなんだから。」


ノエルは目覚めた。

「王城に行って報告と、学園創設の手配だな。よし、行くか。」

ノエルは王城に向かった。

「フラガラッハ王はおられるか!」

「ここにいるぞ、ノエルよ。」

出てきたのは少し痩せかけたフラガラッハだった。

「少し痩せました?」

「痩せてなどいない。王たるもの健康管理は大事だからな!」

(目に入っている光も、この前ウェスタードから帰ってきた時より確実に減っている。この数日で何があったんだ?)

ノエルはフラガラッハの以前との違いに気づいたのだ。

「とにかく僕からは痩せて見えるので健康には十分気をつけてくださいね。」

「おう!」

(喋り方は以前と変わらない。恐らく首飾りの影響だろうな。支配は解くのが面倒だから自我を失う前に何とかしないとな。)

ノエルはフラガラッハに軽く方向を済ませて学園創設の旨を担当者に伝えに行った。

「学園創設、ですか。」

「エアリオスにはまともな教育機関がない。良いタイミングだと思わないかな?」

「書類には問題ないので大丈夫ですよ。」

「ありがとう。あと出来ればこのことは内密に。学園創設について何か言う者がいたら、リーシェリウスのシリウスという者以外の言葉は聞かないでほしい。」

「承知いたしました。」

(ダズも流石にここまで手を伸ばすことはしないだろう。)

諸々の手続きを終えて王城の中を歩いていた。すると向こうから何やら侍従が歩いてきた。

(何かを話している?もしかして今の王城の中を知れるかも...隠れて聞こう。)

柱に隠れて盗み聞きすることにした。

「ねぇ聞いた?ノエル様の話。」

(僕の話?)

「聞いた聞いた。何でも陛下を洗脳してるとかって話でしょう?」

(僕がフラガラッハを洗脳しているだって?冗談じゃない。)

「洗脳から陛下を守るために宰相様が防護を張っているらしいわ。流石宰相様ね〜。」

「敏腕な宰相様。それに比べて、強いだけで口出しするノエル様は...」

(確かに僕が口出ししているのは事実だけど、そんな変じゃないだろ。王が暴走して迷惑を被るのは君達なのに。重要性を考えていないのか?)

侍従達が去った後、ノエルは歩き続けていた。

(何かが捻じ曲げられている。原因は、)

ふと背後に殺気を感じた。

(まさかとは思うが!)

「ノエル・アザリンス。失礼ですが御命頂戴仕る。」

ノエルは何者かに刺された。

「誰、だ。」

「冥土の土産に教えてあげましょう。私は崇高なるあの方のシモベ。アンナ。」

(あの方、多分ダズであってるだろうな。)

アンナはノエルに刺したナイフを抜いた。ノエルは倒れた。

「あなたは自殺として処理されます。傷の位置を変えて自分で命をなくしたかのように。」

「何で、こんなこと、」

「ご自分で考えてください。では。」

(クソ、やられた。背後を取られたか。ダズは僕に何の恨みがあってここまで。これは、探る必要があるな。)

ノエルは静かに目を閉じた。

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