ep.12 帝城
(さ〜て、エアリオスだがすでに黒い気配がするな。)
密偵からもらった資料を懐から出して見たフォニア。
(宰相、ダズ・w・アリジオ。色々黒い話があるな。密偵の話じゃ国交の状を書き換えたって話だ。何が目的か探る必要があるな…フラガラッハも詰めが甘すぎる。時に優しさは全てを切り裂くんだ。)
エラン、シリウス、ノエルは帝城の入り口まで来た。
「宰司殿。ここからの案内よろしくお願いいたします。私はここから仕事があるので。」
「エラン、頼んだぞ。」
エランは帝城に入りすぐにどこかへ行ってしまった。
「ノエル殿。参りましょう。」
「は、はい。」
帝城の壁は高く、1.5キロの漆喰で囲まれていた。
(高いな...というか刻印が押してあるような、)
何か察したのかシリウスは帝城の説明を始めた。
「この帝城は防衛の刻印がしてあります。軍系魔法で陥落することもありません。」
「大きいですね。なんかこう、威圧感が。」
「それはそうでしょうね。これに加えて下の方の階層は外の景色が見えません。代わりに壁画があります。」
「そりゃ1.5キロですからね。」
「下の階層は帝族の御子がお住まいです。成長するにつれて上の階層へ移動できるんですよ。」
「今は誰が住んでるんですか?」
「陛下はまだ未婚なので今は直系の帝族はいません。でも今は陛下の甥様、姪様がいらっしゃいます。」
(まぁ忙しいから未婚も仕方がない、のか?)
「中へ入りましょう。」
シリウスは門番に合図をして門が開いた。
(鉄鋼の門...外から中が見えない、果たして中はどうなっているのやら。)
出迎えたのは青々とした短い芝生と小さい花々、青空の壁画があった。
(管理された庭園、というべきか。幼い子には外を見せず仮初の外、か。)
「この壁画は、外に出られない帝族の方々のために描かれました。まだ力も弱く、魔力が定まっていない小さい帝族の方は外に出せば危険ですからね。」
「まぁこれから国の未来を担うような人間がいるわけですからそりゃそうなりますよ。」
城の中から四人の子供が走って出てきた。
『シリウス〜!』
「あれ、どなた?」
「陛下の甥様と姪様です。」
「ん?シリウス、隣のやつは誰だ?」
一人が首を傾げた。
「ノエル・アザリンス殿です。隣国のエアリオスからいらっしゃいました。」
「ノエル、か。初めまして。俺はディーナ・リシェラン。陛下の妹であるディアンナ・リシェランの第一子だ。隣の小さいのは俺の弟のディカルド・リシェラン。ほら、挨拶しろ。」
ディカルドはノエルに深く一礼した。
「次は私ね。こほん。私の名前はヴィアンナ・ロイド。そこの宰司の姉と陛下の弟君の第一子です。どうぞお見知り置きを。」
「え、っていうことはシリウスの、」
「姪です。」
(っていうことはフォニア帝はシリウスの義理の姉ってことになるのか?難しいな。)
「最後は私ですか。私はヴィヴィアン・トワイライト。トワイライト大将軍の妹君と陛下の弟の第一子です。」
(エラン殿の姪、ってことか。ならエラン殿から見てフォニア帝は義妹、フォニア帝から見てエラン殿は義妹?ってことか?難しすぎて何が何だか分からなくなってきたな。)
「殿下達、本日はお泊まりにいらっしゃったのですよね?」
「え、住んでるんじゃないんですか?」
「帝城に住むとなると親君と離れることになります。なので泊まるだけなんですよ。」
(あ〜いらっしゃるってそういうことだったのね。確かに泊まりにきている帝族を無闇に外に出せないか。)
「シリウス。今日はリーシェリウスの第四代皇帝について話してくれると言っていたはずですよね。」
「ヴィヴィアン殿下。そうでしたね。じゃあ執務室に向かいましょうか。」
「え、じゃあ僕は?」
「大将軍、エランに任せますよ。」
「え、大丈夫なんですか?」
「問題ないですよ。アイツ仕事早いので。」
シリウスは大きく息を吸って、言った。
「トワイライト大将軍〜!仕事ダァ〜!」
(え、え、え?唐突な崩壊?)
城の中から誰かが走って出てきた。
「シリウス〜!大声で、呼ぶな!」
エランがシリウスの腹に一発入れたがどうやら片手で受け止められたようだ。
「お、おぉ。」
「大将軍殿。ノエル様のご案内、任せてよろしいですかな?」
「こういう時だけ殿呼びはやめてください。御巫山戯がすぎますよ。まったく。良いですよ。」
(あ、良いのね。)
「ねぇ〜シリウス〜早く行きましょう〜。」
ヴィヴィアンナはシリウスの袖を掴んで左右に大きく振った。
「そうですね、ヴィヴィアンナ殿下。行きましょう。」
ヴィヴィアンナはシリウスを引き連れ、後を行くようにディーナ達は執務室へ行った。
「なんか、あれですね。シリウスって、面倒ごとは他人に押し付けるタイプですね。」
「あれでも仕事はできるやつなんですがね...たまに子供染みた事をするのでギャップがありますよ?ノエル様。中を案内します。」
「よ、よろしくお願いします。エラン殿。」
「畏まらないでください。あなたの方が強いんですから。」
「でも...」
「私は自分より強い人間に殿付けで呼ばれるのが苦手なんです。呼び捨てで構いませんよ。」
「じゃあ、お言葉に甘えて。エラン。城の案内、頼みます。」
「承知いたしました。」
白の内部はウェスタードとは違い少し冷たい印象があった。柱は大理石のような色で窓は少し曇っていた。カーペットは青く、天井は純白。壁も天井と同じく純白だ。
(冷たい感じだな。ウェスタードとは大違いだ。)
「ここの突き当たりには帝城の武器庫があるんです。見ますか?」
「え、良いんですか?!」
「はい。かまいませんよ。」




