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第四話 初戦闘の初素材


 転生したばかりで勿論のことながら住むところも無い。生活の場として暫くは亡きグランツ・ローゼンベルグの住んでいた家を使わせてもらう事にしたが、長い間使われていなかった様であちこちガタが来ている。取り敢えず使わせてもらう前に修繕を試みる。いつの間にか雨が止んでおり、外から家を眺めてみる事に。


「DIYぐらいはやった事が有るけど、流石に本格的な家の修繕まではやった事が無いな……こんな時は!」


 目の前の家が綺麗に直され、更に使いやすくなっている様子を思い浮かべながら『創造主』を唱えた。


『グランツ邸ver2』

必要素材

・朽ちたグランツ邸

・木材

・石材

・防腐塗料

・金属製の釘


 どう見てもすぐに出来る物では無さそうだ。


「……まぁ取り敢えず、ちゃんと雨風が凌げて寝泊まりできる様に、確実に一部屋は早く終わらせよう!」


 再び家の中に入り、どの部屋から修繕をするか考える為に家の中を見て回る。寝室に使っていたのは2階の一室の様だが、2階から先に修繕するのは恐らく得策では無い。一階には鍛治道具と作業台のある大きな部屋、素材を集めて置いてある倉庫、その他にもう一つ部屋らしき扉がある事に気付いた。


「この部屋は何の為の部屋なんだろう?」


 中に入るとそこは、6畳程の部屋の中に祭壇の様なものが一つ置かれていた。その祭壇に祀られていたのは、どこか見覚えのある女性の像だった。


「コレって……あの女神様だよね?」


 前世で命を落とし、転生する前に優しくも若干辛辣に転生ライフの相談を受けてくれたあの女神様……をそこはかとなく美化した様な像だった。


「この世界ではこの女神様に対する信仰みたいなものが有ったのか……ちょうど良いや!暫く話し相手も見つからないだろうし、この部屋から直して女神様に挨拶でもしに行こう!」


 早速部屋の修繕に必要な素材を集めに森へ向かった。木材や石を切り出し、加工する為の道具はグランツの残した道具に少し手を加えれば問題無かった。切り出しもその後の加工も生まれつきの器用さでスムーズに行えた。だけど素材の一つである『防腐塗料』を作るのに、少しだけ苦難があった。


『防腐塗料』

必要素材

・シルスの実

・スライムの粘液


「……て言うことは……スライムと戦わなきゃだよねぇ……」


 前世での30年間、ケンカなどの荒事を遠ざけて生きてきた身としては、戦闘というのは極力避けたいと思っていたところだ。


「だけど、異世界に来た以上避けては通れないよね……よし!」


 意を決してフィールドサーチを行い、少数のスライムの群れを目指して行く。長い枝の先に研いだ石を結び付けた原始的な槍をその手に持って。なぜこんな物で立ち向かうのかと言うと、まだ鍛冶場の復旧が出来ていない事と、グランツ邸に武器らしい武器が一つも無かった事が原因である。


「あれだけレアな素材を集めた人なら、家のどこかに強い武器でもあるかと思ったけど、結局ナイフの一本も無かったからなぁ……グランツさんはどうやって素材を集めたんだろ?」


 疑問を抱きつつ溜息を吐くと、スライムの小さな群れにたどり着いた。茂みに隠れながら一旦相手のステータスを確認する。


『スライム』

Lv1

可愛らしい見た目で戦闘力は非常に弱いが、大きな群れで暮らす傾向がある為、集団での攻撃に注意。ドロップする素材は薬品や加工品の材料となる為、生活に欠かせない。


「うん…やっぱりLv1だな。初戦はこうでないとね」


 ファングボア急襲の苦い思い出がよぎったところで、丁度よく群れから離れている一体のスライムが居た為、スライムの前に姿を現し攻撃を仕掛けるが、こちらの存在に気付いたスライムが勢い良く飛びかかってきた。


「うわぁ!思ったより動き速っ!!」


 襲いかかるスライムに思わず目を伏せ、持っている槍で防ごうとすると、偶然にもその槍先にスライムが刺さり倒せてしまった。


「あ、危なかった……」


『スライムの粘液をドロップした』


 ホッと胸を撫で下ろし、アイテムをドロップした所で背後からガサガサと物音が。


「……なんか嫌な予感」


 振り返ると十数体のスライムがこちらを睨みつけていた。


「……多分怒ってるよね?」


 スライム達は一斉に飛びかかってきた。


「うわぁぁああ!!!!!!!」


 襲いかかるスライム達から逃げるが、死角からやって来たスライムが左腕にドスン!と体当たりして来た。


「った!……でも耐えられるぐらいだ、言ってもLv1だもんな……なんとか戦ってみるか!」


 踵を返して槍での応戦を開始する。数発体当たりを喰らうも何とか十数体のスライムを倒した。


「はぁ…はぁ…これで終わったかな?……はあぁ……」


 大きな溜息と共に地面に大の字になって寝転ぶと、目の前にウィンドウが現れた。


『ウルカ・ファイトス』

Lv6

HP 350

MP 350

STR 26

VIT 26

INT 28

RES 26

DEX 81

AGI 31

LUK 60


「Lv1とは言え、この数を倒したからまとまった経験値が入ったのかな?…まぁDEX100に近付いたし、スライムの粘液も沢山手に入ったし、大変だった分見返りは充分だろう」


 スライムの粘液を回収した後、樹木からシルシの実を採取する。シルシの実はいわゆる着色料になる木の実で、木によって抽出出来る色が変わる。今回は神様の祭壇という事で、神聖そうな白い色の実を採取した後、グランツ邸に戻る。


「よし!早速やるか!」


部屋の破損した箇所に新しい木材を取り付けて補強し、スライムの粘液と白いシルシの実の果汁を混ぜた防腐塗料を塗り、装飾を施した石材を取り付ける。


「……こんなもんかな」


 中々の作業量ではあったが、そこはドワーフの力なのか2、3時間で作業は終わっていた。しかし今日は色々あったので、すでに外は暗くなり初めていた。祭壇の横に大量の蝋燭が置かれていた為、ランプにつけた火を移して祭壇に並べた。


「教会で祈りを捧げれば女神様に会えるって言ってたけど……これでも会えるのかな?」


 ファンタジー作品の見様見真似で祭壇の前に傅き、両手を合わせて目を瞑ってみた。すると意識が不思議な光に包まれ、気がつくとあたり一帯白の空間に居た。

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