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家に帰るまでが登下校です

「岩井じゃん」


 さよなら俺の平穏……。


「こんな所で何してんだ?」


「まあ……休憩を」


「ほぉん?」


 一難(いちなん)去ってまた一難とはこの事か。


 いや、さっきのは「また」って言ってもらえたからプラマイゼロだな。


「お前ん家ここら辺なの?」


「あぁ、うん」


「へぇ〜……私もこの近くなんだ」


「そうなんだ」


 やっべぇ陰キャすぎてこういう系の人とどう会話繋げたら良いのか分かんねぇ!


「おーい? どうした?」


「えっ!?」


「あぁいや、ボーッとしてるからよ」


「ごっ、ごめんなさい」


「はははっ、謝んなくて良いって〜」


 ……あれぇ〜……? 意外と優しい……?


「ところでよ」


「はい」


「この近くにDVDショップあんの知ってるだろ?」


「あぁ、ありますね」


「そこ一緒に行かね?」


()?」


 おいおい待ってくれないか?


 DVDショップに一緒に行こうって……それってデー……


 いや、違うわ。


 こんな陰キャ野郎にそんな幸運が舞い込んでくる訳ないじゃないですか。


「……ダメか?」


「喜んで()かせて頂きます」


 そしてそのままDVDショップに連れて行かれるのだった……。









「ほら、入るぞ」

「あぁはい!」


 あるっていうのは知ってたけど初めて入ったなぁー。


「私さ、映画鑑賞が趣味なんだよね」


「へぇー」


「……意外か?」


「あーいやその」


「良いって、私こんな口調だしさ。そう思うのは無理ないって」


 ……もしかしたら、鴉画叉さんは――


「あっ、これとか良さそうだな!」


「どんなやつなんですか?」


「陰キャの奴が【探知】っつースキルを手に入れて運命の人を探したら通ってる学園のマドンナだったっつー話」


 あっ、それノンフィクションっすよ。


「へっ、へぇ〜……面白そうですね」


「ん? もしかして見たことあんの?」


「いや、無いんですけどなんていうか……」


 その話の通りの事が起きてるなんて言える訳ねぇだろ!


 てか幸天! お前これ見て絶対俺に【探知】を渡したろ!


 あのやろー……今度会ったら問い詰めよう。


 あっ、俺にそんな勇気無ぇわ……。


「なあ、お前ってどんな映画好きなの?」


「あっ、えーと……」


 俺って映画とか見ないんだよなぁー。


 たっ、【探知】の兄貴……ヘルプっす。


 この状況で答えたら良い映画ジャンルを教えて下さい……。


 すると脳内に一つのジャンルが浮かんだ。


 そしてそれをそのまま言う。


「アクション系かなぁー」


「へぇーアクション系好きなんだ。意外」


「そお?」


「なんかもっとこう大人しいのが好きかと思った」


 俺そんな風に見られてたのか。


 まあ……陰キャですし……はは……。


「んじゃあ私はこれ買って帰るわ」


「分かった」


「お前もなんか気になったのあったら買ってけよー」


 そう言って鴉画叉さんはレジに向かった。


 ……えいやほんとに何で俺連れてこられたの?


 まあいいや。さっき言ったアクション系の映画が売ってるとこ少しだけ見てから帰ろ。


― 30分後 ―


 やべぇ、意外と気になるのがありすぎる。


 アクション映画今まで興味なかったけどこれを機に見てみても良いかもしれない。


「すいませんこれ下さい」


「はい。お会計1685円になります」


 お金を払って選んだDVDを買う。


 ……そういや初めてだなぁー。登下校中になんか買うの。


 そう思いながら買ったDVDが入ったビニール袋を受け取る。


 あっ、鞄持ってるんだからビニール袋いらなかったなぁ……。


 5円無駄にした……。


 ま、初めてだし仕方ない仕方ない。


 たったの5円で済んだと思えばいい。


 ……いやほんとに端金(はしたがね)じゃね?


 ま、帰ったら見て見るか。


 そう思いながら家に帰った。








 そんな簡単に家に帰れる筈なかった。


 はははっ、分かってたよ!


 さて、今がどういう状況なのか説明しよう。


 目の前に幸天さんがいて「質問に答えないと通さない!」と質問をしていないのにそう言ってめっちゃ邪魔してきてる。


 うん。なんだこれ。


「答えるまでここは通さない!」


「だからその質問の内容を教えろ!」


「やだ!」


 もうほんとなんなんだよ。


 はぁ〜【探知】の兄貴、やっちゃってくだせぇ。


 発動すると一つの単語が浮かんだ。


「す……寿司……」


 ちょっと待て、何で寿司?


「……正解」


 嘘だろ?


「【探知】……使ったよね?」


「うん」


「つまり【探知】を使って、その場で一番言うべきことを知る事も出来るんだよ」


「だからこんな……」


「そゆこと」


 幸天さん………………それもう知ってます。


 さっきの鴉画叉さんの件で自力で気づきました。


「……あれ? もしかして知ってた?」


「ハハハーイヤァー知ラナカッタナー」


「知ってたね?」


「はい」


 な、なんか少ーし睨まれてる気がする……。


「ま、知ってたならいいや」


「なんか……ごめんなさい」


「大丈夫だよー、じゃ」


 そう言って幸天さんは何処かへ向かって走って行ってしまった。


 ……やっと帰れる。


 ビニール袋をシャカシャカと鳴らしながら帰った。








「おかえりなさいお兄ちゃん!」


「うん、ただいまー」


 そう言って自室に荷物を置く。


「料理は出来てますよ!」


 そう言って愛花はリビングの席に座った。


 手を洗って俺も席に座る。


「今日の晩御飯は……妹特製本気美味いもうととくせいマジうまカレーです!」


「……なあ愛花よ」


「? 何ですかお兄ちゃん?」


「名前変えただけでこれ昨日と同じじゃないか?」


「一晩寝かせたので別物です!」


 そう言って愛花は食べ始めた。


「あぁそうそう」


「何です?」


「弁当マジ美味かった」


「良かったですぅ〜。美味しくなかったらどうしようかと心配だったんです」


「お前が作った料理が美味くない訳がない」


「……褒めてもカレーくらいしか出ませんよ……?」


「そんないらねぇ!」


 だがやはり一晩寝かせたからか昨日のよりは美味しい気がする。


 ……あっ、昨日のカレーそもそも味してなかったわ。


「ご馳走様」


 そう言って食器をキッチンに片付ける。


「ふぁ〜」


 と欠伸(あくび)をしながらベットに横たわってスマホをいじる。


 うーん……マジ楽しい。


 ステージを五つクリアして少し宿題をやる。


「α……β……X……θ……分からん」


 難くね? なんか難くね?


 私立だからこんなムズいのか?


 わー、へんなきごうがいっぱいあるなぁーあははー。


 ……っは!? 分からなすぎて幼児退行してた!


 ゲームの五つのステージをクリアした時間よりはずっと遅く宿題を終わらせた。


 意外とかかったなぁー……寝るか。


 本当は買ってきた映画を見たいけどもうかなり遅い時間だからなぁー。


 明日にしよう。


 ベッドに寝っ転がって寝――る前に


「マジで普通に平和に幸せに暮らせますように」


 そう祈るのだった。


『面白い!』


『気に入った!』


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