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銀星級の冒険者との対面

久々の投稿です。大変お待たせしてしまい、申し訳ありません。

 俺達は依頼を終えて組合に戻った後、すぐに素材などを換金してもらってから報酬を山分けした。

 そして依頼中に話していたことに関してもう一度相談するため、カウンターの近くにある食堂の席についた。席に着くとすぐにウェイトレスのお姉さんが注文をとりに来てくれた。


 取り敢えずお腹が空いたので肉系のガッツリとしたものを頼んだ。ボドワンさんも肉類で、ステーキを頼んでいた。そして度数が13%くらいの果実酒もボトルごと頼んでいた。

 アルセーヌは魚のムニエルのような美味しそうな料理を頼んでいた。


 そうしてそれぞれの食事が届いたところで、早速食べながらの作戦会議が始まった。


「そう言えば、ボドワンさん。さっき銀星級の人に連絡を取るって言ってましたけど、そんなにすぐに連絡がつくものなんですか?」

「あぁ、まぁね。泊まっている宿を把握しているから、仮に彼が留守だったとしても受付に手紙を渡しておけばいい」

「なるほど」


 僕らがそこまで会話を終えたところで、ボドワンさんが今度はアルに声をかけた。


「アルもそれでいいかい? その冒険者に手紙が届けば、すぐにでも会って話をする展開になると思うけど」

「大丈夫です。ただ、その……」

「不安かい?」

「……はい。正直なことを申し上げると、そうなります。何せ幾ら父親とは言え、相手は伯爵です。今回の件が仮に失敗に終わったり、そもそも父が階級云々には関与していなかったとしたら、勘違いでしたでは済まされない相手です」

「前者に関してはともかく、後者に関しては問題ない。これから僕含め、例の銀星級冒険者も一緒に組合長に直接話を聞きにいく。そして組合は冒険者からの情報提供要請を国家機密級の案件以外は拒否できない。そしてもし、その説明を受けても納得できない場合は自分の味方をしてくれる貴族に頼んで、組合に捜査を入れてもらうことも可能だ」

「そ、そうなんですか……?」


 アルセーヌの疑問に対してボドワンさんは首を縦に振ることで肯定の意を示す。

 

 マジか……正直これが今の俺の率直な感想だ。冒険者は国防に大きく貢献している存在で、国も手厚く待遇していると言う話は以前にも聞いていたが、まさかここまで冒険者の権力が強いとは思っていなかった。

 まぁ、冒険者の説明要求に対して拒否できないというのはともかく、冒険者の要望のために貴族が動いて組合に捜査を入れるってのは、十中八九上級冒険者だけの特権みたいなものだろうけど。


 だって下級の冒険者でもそれができるのなら、今頃冒険者の権力は凄まじいものになっているだろうから。今でさえ、大分ヤバいのにもしこれ以上権限を与えたら、特権階級を恨む冒険者とかに国家転覆を目論まれるだろうからな。


 だがそれでも組合からすれば、自分達の職や立場を失う可能性を抱えてまで悪い貴族に協力する意味はない。すぐに情報を吐いてくれるだろうな。


 なるほど、ボドワンさんが自信満々な理由が分かった。今の話を聞いてアルセーヌも悩む必要はないと理解したのか、大分緊張が解けてきたようだ。


 ただ一つまだ懸念がないとも言えない。まさか、そんなことはしないだろうと思いたい。だけど、タチの悪い人間というのは追い詰められると本当に何をしでかすかわからない。

 でもせっかくアルセーヌも頑張る気になってるんだから、このことは後で個人的にボドワンさんに聞いてみるか。


 ボドワンさんは俺らが特に意見も無いのを確認すると、食事も終わっているので早速例の冒険者が泊まっている宿に向かおうと言う。特に反対する理由もないので、俺もアルセーヌも彼の後をついていく。


 

 そうして20分ほど歩いただろうか? 目の前にはかなり豪華で大きな建物が聳え立っている。


 えぇっと……


 俺と同じ疑問がアルにもあったのか、彼が先に質問した。


「あ、あの。ボドワンさん、ここって……貴族街、ですよね?」

「ん? そうだね。それがどうかしたのかい?」


 いや、どうもするでしょう!……多分? いや、銀星級冒険者って言ったら相当稼いでいるであろう上に政治的影響力もあるだろうから、こんな場所に住めてもおかしくないのか? 

 ただ、アルも俺と似たような結論に達したのか、質問をやめた。


「取り敢えず中に入っても良いかい?」


 ボドワンさんに聞かれたので、しっかりと頷いて応える。


「よし、じゃあ行こうか」


 その後俺たち3人は目の前の宿に入って行き、受付に向かった。そしてボドワンさんが色々話を聞いている。

 俺とアルはあまりの高級宿に落ち着かない感じでソワソワしっぱなしだ。

 だがようやく話も終わったようで、ボドワンさんが俺たちに話しかけてきた。


「どうやら、今はまだ仕事から帰ってないようだね。少しそこの待合所で待ってようか」

「はい」

「そうですね。ずっと立って待ってるわけにも行きませんし」


 


 そうして俺らが受付近くのロビーで20分ほど待っていると、前髪だけかっこよくかき分けてる坊ちゃん刈りの銀髪男性が宿に入ってきた。しかもかなりの長身だ。軽く185cm以上あると思う。

 もしかして……あの人が? そう思って見ているとその銀髪の男性が俺たちが座っている席に向かって歩いてきた。


(え? マジで正解?)


 俺のそんな困惑はお構いなしに、男の人はズカズカと歩いてきて、ボドワンさんの前で立ち止まった。

 ものすごい剣幕で睨んでいるような気がする……


「お前……」


 ゴクリ……なんか、ヤバそう? そう思っていたが、次の瞬間その考えは吹き飛ぶ。


「ボドワンじゃねぇか! 久しぶりだなオイ!」


 めちゃくちゃ仲良さそうだった。


「そうですね。お久しぶりです」

「まーた、堅苦しい言葉使いやがって〜。別に普通の口調でいいって言ってんだろ?」

「いえ、流石に周りにもたくさん人がいるこの状況ではそうしにくいです」

「そ、それもそうか。それにしたって何だってこんな所に?」


 あ、再会の挨拶をしていたようだけど、ようやく本題に入れそうだ。


「ええ、実は少しお願いしたいことがあるんです」

「願い?」

「はい。僕らを助けてはくれませんか?」


 さっきまで緩い雰囲気だった銀髪の人はボドワンさんの真剣なそのセリフに、一瞬で真面目な感じに切り替わった。

 



 その後まずはジスランさんの部屋に入れてもらってから俺たちを紹介してもらい、彼のこともボドワンさんから紹介してもらった。名前はジスラン・ベルクール"男爵"と言うらしい。

 

 えっと少し待って欲しい。男爵ってことは貴族ってことだよな? 困惑しているとそれを察したのか、ジスランさんが直接説明してくれた。


「俺の本業は冒険者だけど、爵位も貰ってるんだ。数年前、王都の周辺地域に結構な数の魔物が出てな。その時に騎士だけでは対処しきれない奴までが出てきてしまったんだよ。それで俺が呼ばれたってわけだ。そこでその強い魔物を倒して国を救ったってことで陛下から騎士爵の位を授かった。そしてついこの間、下位の奴ではあるんだが水竜を倒してな。物凄く大きな功績ってわけではないが、市場に竜の素材が出回るっていう経済効果も加味して男爵に陞爵されたんだよ」


 うん、納得するしかねぇわ。軽くやばい人だわこの人。この間魔物の教本読んでたから知ってるんだが、竜は下位でも普通にヤバい。体格も人間の数十倍あるし、各々の属性のブレスなども吐いてくる。ベテランの冒険者でもあっけない最期を遂げることもあるくらいにはヤバい存在だ。

 そんなのを、"出会ったから倒しといたんだが、そのおかげで爵位上がったわ。あははは" みたいなノリで話す人なんだ


(これが……銀星級の力、か)


 しかも国に貢献してるから貴族も迂闊なことは口走れない。そんなことをすれば、本人の怒りを買い物理的に首が飛ぶか。有能な人材を失望させて国外に逃してしまい、社会的に首が飛ぶかだ。

 

 なるほどな。冒険者が政治的影響力がある事についていまいちピンときてなかったけど、そう言うことか。そりゃ爵位ももらえたりするよな。まぁ、もらうかどうかは本人次第みたいだけど、ジスランさんは断る理由もないから受け取ったってことらしい。

 あくまでも副業の扱いなので、貴族の仕事は代官に任せているようだ。


 


 そうしてジスランさんのことが大体わかったところで本題に入った。ジスランさんはボドワンさんの説明を黙って聞いている。

 最初は友人の悩みを聞く男性って感じの態度だったけど、話が進むにつれてだんだんと怒ったような雰囲気に変わっていった。


「話を聞く限りじゃあ、その伯爵に貴族を名乗る資格はないな」


 ジスランさんはそうはっきりと断言した。アルは自分の父親がそんなことを言われるような人間だと言うことを気にしているのか、少し落ち込んでいる。

 だがそれをジスランさんは見逃していなかったみたいで、すぐに言葉を続けた。


「だがそれはあくまでお前の父親が本当にそんな非常識なことをやっているのならの話だ。やってないのならやってないで、それならお前の階級が上がらない理由が何なのかを調べればいい話だ」


 言われてみれば確かにそうだな。アルもそう思ったのか、少し気を取り直したようだ。


「もし本当に伯爵が関わっていないのなら、考えられる原因は2つ。アルセーヌ、お前自身の力不足か、組合が何らかの不正を働いている場合だ。まぁ、それは調べればいずれわかることだ。とにかく今は組合にどう言うつもりでお前の階級を不相応なままに留めているのかを問いただす必要がある」

「ご協力感謝いたします」

「良いってことよ。階級は冒険者にとって命みたいなもんだ。そこを侵す奴は組合だろうと貴族だろうと許されねぇ」


 俺たち3人はジスランさんの言葉に頷いた。ここまで事が運んだのなら後はやることは簡単だ。まずは組合に行って詳しく説明を要求することだ。


 これから忙しくなりそうだ。


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