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学年序列決定戦

本日もよろしくお願いします。

 俺たちがクラスのみんなと一通り挨拶し終えた頃、バスチアン教授が声を張り上げた。


「では、みんな! 一旦席に着いてくれ」

「「「はーい」」」


 生徒はみんなお行儀よく先生の指示に従って席についていく。


「ではまず、今後すぐの流れについてだが、1週間後に学年序列決定戦というものが行われる。これは全員参加の行事で、体調不良や緊急の家の用事などで一旦家に帰らないといけないといった理由以外では、不参加は原則許されていない」


 という説明が始まった。ふむ、序列決定戦ということは何かしらの戦いがあるのか。

 それに勝てば上に上がれるみたいな?

 よく分からないけれど、ここで実力を示せばある程度認められて嫌がらせとかも減るかもな。

 悪くない、いっちょ頑張って上目指してみますか!


「そういうわけなので、諸君らからは今のところ急な用事の届は出ていないので原則参加という扱いにさせてもらうぞ。それでは、内容の説明だが、単純だ。戦え。同じ学年の生徒と序盤は全員参加の戦闘が行われ、その後勝ち残った者が本大会へ出場できる。そこで上に勝ち上がれ。そうして優勝した者が晴れて序列一位だ。その後の序列変動についてだが、学園に誰と戦いたいか申請して、より上位の者に挑んで順位を上げていくって感じだ。今日から始まる1週間、しっかりと訓練しておくように」


 といった感じの説明で終わった。これで説明は終わったかなと思った俺は、今日はこれで終わりの予定なので、寮に帰るために席を立とうとしたところで、再び先生から待ったがかかった。


「ちなみに今大会での成績自体は学園の成績には加味されない。あくまで自分達の将来有望さを外部に示すのが目的だ。つまり軍人やお国のお偉いさんたちがゾロゾロと見学に来る。そこで力を示せ。そうすればかなり将来が安泰となる。だが、ここで勘違いしてもらっては困る。序列が全く成績に関係ないというわけではない。どういうことかというと、今後の向上意欲というものの話だ」


 どういうことだろうと首を捻っていると、早速説明があった。


「つまり、大会後の序列変動は成績に思いっきり加味されるという話だ。万が一あまり成績が振わなかった者は卒業までになるべく順位を上げろ。上位に行けば、成績でかなり優位に立てる」


 そう言われて初めて生徒たちに緊張が走った。つまり自分達の立場は安泰なものというわけではないからだ。


「いいか? 君たちが今この特進教室という場に立てているのは、確かに君たちがこの学園において最高峰の金の卵たちだからだ。熾烈な入学競争に打ち勝ち、玉座と王冠を手にした者たちだからだ。だが言っておく。"最高"と"最強"は全くの別物だ。あくまで君達が評価され、高い位置にいられるのは勉学の成績が評価対象に入っているからだ。勉学は誰でも頑張って当たり前だ。学生ならな。だから学園はどちらかと言うと武力の方を重視している。故に! 下位の教室の者たちに一切下剋上を許すな! 四級教室以下の者たちは正直微妙かもしれんが、三級教室までの者たちなら十分に君達に下剋上を挑む資格があると見ている。最後にもう一度言っておく。油断していたら今のその椅子は全て奪い取られるものと思っておけ! 君たちはせっかくここまできたのだ。なら最後まで最高であり、最強であり続けろ! いいな!」

「「「はい!!!」」」


 俺たちはこの物凄くかっこいい演説に敬意を表し、腹の底から返事をした。


「うむ! 良い返事だ! 君たちの武運を祈っている! 以上、解散!」


 こうしてようやく、一通り今日のプログラムが終わって、寮に帰ることとなった。





 寮の近くにまで戻ってきたところでアランが口を開いた。


「いや〜、それにしても先生の鼓舞は効いたね〜。まるで歴戦の軍人の演説みたいだったよ。軍になんて直接関わったことがないであろう子たちまで自然と緊張して、気が引き締まっていたのがその証拠だよ。僕も頑張ってテッペン取らないと」


 そうやって意気込むアランに対してアニエスはと言うと、


「私、一応特進教室に入れるくらいには闘う術も磨いてきたけど、流石に全面的に武力頼りで何かを決めるなんてことはしたことないし、やったとしても一級教室の上位生徒とかに勝てる自信ない……」


 という感じでかなり悲観していた。だけどそれは気にしすぎだと思う。そもそも特進に入れるくらいアニエスは優秀なんだ。いくら一級の教室の者たちが優秀と言っても簡単にアニエスから一本取れるとは思えない。

 それに、


「そこまで心配なら俺たちと特訓すればいいじゃん! 本番ではアニエスに手加減することは出来ないけど、それまでの間なら俺たちは今までと同じように仲間だ。だからアニエスが困ってるなら力になるよ」

「そうだよ、もっと僕達に頼ってくれ!」

「いや、そんな……2人も特訓あるだろうに悪いよ」

「いいんだよ、んな事は〜」

「そうそう、困ってる時はお互い様さ」

「う、うん。ありがと」



 こうしてこの後、すぐにアニエスとアランとの特訓が始まった。剣と魔法を使ってしっかりと訓練をしていく。

 アニエスもやはり覚えは早いようで、結構順調に訓練は進んだのだった。





 そうして1週間が経った。


 俺たちは控室となっている自分達の教室に集まり、時間を潰していた。

 そこで精神を統一し、時間まで備え、時が来たら一気に開場に入場する感じだ。

 そして学園長の開会の挨拶を聞いて、準備が整ったら開始だ。


 そのため、俺は今か今かと気持ちを漲らせて待つ。

 そして待つこと5分ほど、ついに学年主任のバスチアン教授が入室してきた。

 そう、最近気づいたのだが、バスチアン教授は学年主任だそうだ。すごい人だなと思っていたら、納得の役職についていた。


「皆、準備はいいな!」

「「「はい!!」」」

「よし! では入場だ! 行ってこい!」



 そうやって促され、俺たちは一気に開場に躍り出る。


 さあて、いよいよだ。ここらでいっちょ大暴れして、いろんな人の目に留まっておきますか!

 そうすれば将来的に色々と得をするかもしれないからな。


 そう思い、俺は入場した後、しっかりと話を聞く姿勢を整え、学園長の言葉を待つのだった。

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