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罪と罪1(朗読劇用台本)  作者: だし巻き卵
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7男

取り敢えず靴を買おうか、いやもう昼過ぎだ僕もお腹が空いたので取り敢えずご飯にしよう、ご飯を食べれば彼女の警戒も解けるだろう、お腹が空いていると人は気が立つものだ。

幸いここは大きめなフードコートだ、好きな物はあるだろう。

今後は取り敢えずあの家なら他所の干渉は受けないし広い、部屋は大量にあるので、一室を使って貰えば良い少し退屈であるがネットは繋がるし、欲しいものは通販を使える。道は家を立てる際に整え、配達も可能にしてある。

完璧だ、彼女を救えた高揚感で何時もより美味しく感じた煙草の火を消し、私は車に戻った。


8女

ご飯を食べに行くぞ

おじさんはそう言い私を車外に連れ出した。

ここで大声を出せば家に帰ることになる、それと乱暴ではあるが、まだご飯を食べさせてくれると言うおじさんに着いていくかの選択を私は与えられた事になる。

後者を選ぼう、まだマシかも知れないし何しろ逃げるチャンスはある筈だ、私はそう考えながらおじさんに付き従う事にした。

選択権のある外食は久し振りだ、選択権が無いのはおじさんで同じ物を注文しデザートにプリンを付けてくれた。

懐柔のつもりだろうか?そう考えながら久し振りの温かい料理を食べながら私は負けないぞと心に誓った。


9男

少女が食べている姿を見ながら私は達成感を感じていた、ああ彼女を救えたんだと言う、幸福感これからの生活は特殊であろうが、今までよりはマシな生活を提供できる筈だ。

取り敢えず靴を買いに行こう、それから普段着を少し買いああ、彼女用のPCやテレビも居るのか、今の内に買ってしまわなければならない、もしテレビで報道されたらその間は買い物に連れていくことが出来なくなるから、そう考えると私は少女に財布を渡し、今から普段着と靴それから欲しいものを買って来なさいと告げた。


10女

食事の後おじさんは私に財布を渡してきた、目を丸くしていると、普段着数枚と靴を何足かと欲しいものを買って来いとの事だ。

訳が分からないが私は従う事にした。喫煙所で待っているからと言いながらおじさんはトレイを片付けている。

私は体を強張れさせた、気の利かない!と殴られると思った。

しかしいつもの平手は来ない、そうかおじさんは殴らないのか。

服を買いに向かう、色んなお店があるがどこが良いのだろう?私はまず財布を買う事にした、この財布では目立ってしまう。

トイレで一万円札を出し財布を買いに向かう、正直どこでも良かった、必要かは分からないが理由を言えば怒られないであろう、それよりその中身に驚いた、幾ら入っているのだろうお札がパンパンに詰まっている、十万と言う現金を初めて見た、これで逃げられるのでは?と思ったが、警察に保護されるのがオチだ。

私はトイレに戻り買ったばかりの財布に現金数万円を入れ直す、出来るだけ高そうに見えるものにした、これなら高額持っていても怪しまれないだろう、来ている服も高額なブランドショップの物で、バレないであろう、靴は母の物で多少不格好ではあるが、見栄っ張りの人だ一応ブランド物らしい。

私は一時の開放感を味わいながら買い物を続けることにした。


11男

経験則から女の買い物が長いと言う事は分かっているのでその間、僕はニュースサイトを漁った、誘拐がニュースになり彼女の顔写真が出回ってないかだ、それが出回れば少なくとも一週間は外に出れない。

幸いにもまだニュースになっておらず、少し安堵する、まだ気付かれていないのだろうか、彼女は一日エントランスに居るか公園にいる、母親は居なくなってもこの一日は気付かないし騒がない、しかしそれは一日位の話それ以降はすぐに通報される。

そんな事を考えながら煙草を一箱ほど吸っていた。


12女

喫煙室に向かう、手には大量の袋調子に乗って買いすぎたと後悔したが、買ってしまった。

怒られるかな

そう思いながらおじさんに財布を返した。

おじさんはその車の鍵を渡して、ATMに行くから待ってなさいと言いそれからすぐに戻ってきた。

怒られなかった

私は不意におじさんは良い人なのかとも思ったが誘拐犯にいい人は居ないよなとすぐ考えを改めた。


13男

少女が協力的な事に僕は感動した。

怪しまれると思いまず財布を買った事、失念していた確かに男物の財布を持っていれば怪しまれる、そんな事に気付かなかった。

こんな事ではこの先危ぶまれる、僕はもう少し慎重になろうと考えながらカーラジオを付け、車を発進させた。

暫くしてから運命の時を向えた。早すぎる。


14女

ラジオから誘拐の一声が私の耳に聞こえたのは高速道路を降りた時だった。

捨てられた携帯が見つかり通報されたとの事だった。

おじさんから携帯を渡され私は理解してニュースサイトを漁り思わず笑ってしまった。


15男

目撃者は無く目撃情報を集めているとラジオが告げる中携帯で検索していた少女が笑いだし、私に画面を向けた。

そこには5歳位の女の子が映し出されている、曰く彼女の卒園アルバムらしい、私も思わず笑ってしまった。

この時初めて彼女の笑顔を見た。


16女

写真なんて取った記憶が無かったがここまで無かったとはと私はひとしきり笑った後おじさんに携帯を返す。

母は何を考えてこの写真を渡したのだろう?ネットでは幼稚園児が誘拐されたのかと盛り上がっている、私の顔写真は出回ったがこれでは探されようがない、母からは開放されたのだと私は思った。


17男

安堵はしたがミスをすれば捕まってしまう。僕は家に着くまでに彼女とのルールを確認し合った、チャイムがなっても出ない事、近隣に家屋はなく人は来ないが、何かの拍子に人が訪ねてくるか分からない、警戒しないに越したことはないのだ。

幸い家はロの字に設計されており、庭に居ても人は見れないから大丈夫だ、暫くは玄関には行かないようにと厳命した。

買い物はネットで行う、欲しいものを注文しても構わないと限度額十万円の昔作ったカードを登録しPCを与える事にした。

このルールで何とかなるだろう、追加のルールに着いては夕食の時に決めようと言っている間に山に着いた。


18女

おじさんからルールを告げられたあと待機を命じられた、部屋にはクローゼットと机の上にあるPC以外は何も無かったが、取り敢えずネットで検索する事にした。

案の定幼稚園児が誘拐されたと騒いでいたが、何故最近の写真が無いのか、虐待されていたと近隣の証言等も挙げられており所謂お祭り状態だ。暫くして玄関が開く音がしてノックのおとが聞こえた。私は恐る恐るドアを開けおじさんを確認する。

おじさんは携帯電話を渡し居間で設定をしてなさいと促した、その間に組み立てるからと


19男

買った家具を組み立てる、彼女の趣味は分からないので最小限のテレビ台と机等だ。

少女には携帯を設定するように言い付け、私はこの間行ったばかりの家具組み立てをしている。

テレビにPCそれからするか分からないがゲーム機等を買って来たので、退屈する事は無いだろう、ゲームは通販やダウンロード販売でソフトは好きな物を買ってもらえるし、PCも以前使っていた物だが最新のゲームも動くだろう、少なくとも以前よりはマシだ。

そう言い聞かせながらテレビの設定を行い、居間に向かった、飼い犬と戯れる少女とアドレスを交換して鍵をなくした場合等はこれに連絡をする事などを告げた。

そこから暫くして少女は夕食を作るといいキッチンに立っている、材料はある程度あったので、僕はこの先の事を考えながら待つ事にした。


20女

犬と遊んだのは初めてだった、名前はロキと言う豆柴だとおじさんは告げた。

暫く遊んだあと私は夕食を作るとおじさんに提案した、少し考えたあとおじさんは了承し私はキッチンに立っている、材料はそれなりにあったので、ビーフシチューを作ることにした。

調理の間おじさんは居間で私を見ていたが、タバコをとってくると地下に行った、ロキは足元で不思議そうな顔をしながら私にじゃれついていたが、暫くすると飽きたのか、自分のベットで寝ている。

戻ってきたおじさんに出来た事を告げた。

そして、初めての夕食の時間が訪れた。


21男

時刻は9時過ぎだろうか、夕食の時間が始まった。

まずは決まり事の続きを話した、僕が外に出る際欲しいものがあれば言い付けてくれれば良い、思い出せばメールをくれれば買ってくる事、お風呂とトイレは二つあるので片方を使ってくれればいい事、訪ねてくる友人や知人は居ないので安心して欲しい事等など、彼女からの提案はあるかと聞いたが、掃除機の場所と入ってはいけない所はないかを聞かれたくらいだった、僕は部屋と地下は入らないで欲しいとだけ告げた、倉庫にはタバコとマッチ位しか置いてないし、地下の仕事部屋もPCしかないが、僕は格好を付けるために彼女に告げた。

彼女は了承し、掃除等は行うと私に提案してきたのでそれを了承し、夕食は終わった。

皿を洗おうかと思ったが制され居間でテレビを見ている、相変わらず誘拐事件は報じられていたが、顔写真は幼稚園児のままで目撃者は居ない事しか告げられていない、それ程あの辺りは少女に無関心だったのだろう、いつも虐待され外に居た彼女は特段報道がなかったが、ネットでは虐待されて居たとの書き込みがありそれで祭りになっていた。

私はお風呂に入ると告げ、居間を後にした。


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