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叫騒の歌  作者: 実嵐
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原石を磨く

カーテンから日の間が見えていた。若槻は寝ていたい気持ちを振り切って起き上がった。ジャージを着ているが今や何時買ったものなのかも忘れてしまった。大学の時はもっとファッションというものに興味があった気がするが仕事が忙しいのに加えて事件に集中してしまうと無駄なものと判断してしまうのが故だ。適当に着替えて冷凍庫に入れてあった食パンを取り出し温めた。ぬくもったパンを放り込んでコーヒーで流した。見た目は全くもって食事じゃない。作業と変わらない。警視庁へと向かった。すでに間瀬は来て座っていた。

「何時もより速いじゃないか。」

「はい、資料もできつつあるのでまとめているだけです。もうすぐなので・・・。」

間瀬の机に置いてあるカレンダーには赤いペンでマルがつけられていた。必要な時を示しているのだ。榎並については任せろとは言ってはいないが、それくらいの責任がある。刑事部長はもっぱら監察官に監視されているような状態なうえに詐欺師や暴力団にかかわっていたので名誉にかかわるといって最悪降格処分か自主退職を促す形になるだろうと捜査一課の中では噂が流れている。詐欺師からも暴力団からもわいろをもらっているのが口座からわかったのが決定的だったのだ。

「刑事部長の口座の件って桜ですか?」

「正解。桜だったから電話で頼んだんだよ。・・・まぁ、あいつも俺が此処にいる理由もわかっているからうなずいてくれたんだろうよ。」

「それでよかったんですよ。いくらきれいごとを並べたところで現実なんて変わらないんですから。・・・それに今更恨んでも立場なんて簡単に変わらないのも知ってます。俺は若槻さんの部下でよかったと思っています。」

間瀬は思ったのだ。データを扱っている部署にいたらきっと上司の指示を従ってばかりで全く役に立っている気持ちにもならなかっただろう。今は意見を簡単に受け入れてくれた上での判断を下してくれるので責任も負っている気がしている。益子がとぼとぼと歩いてきた。

「なんだ。俺、遅かったんですね。」

「別に構わないよ。そろそろ準備が完了しないといけないから。」

「はい。」

益子は所轄で靴をすり減らすタイプの刑事だった。今もさほど変わっていないが、資料を焼けに読んでいるのだ。生稲は捜査一課の様子を見ながらこちらへと来た。

「あのー、俺も榎並邦彦のところへ行ってもいいですか?」

「いいぞ。生稲もいい腕をしているんだ。しっかり磨いてもらわないと困る。」

「はい。」

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