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叫騒の歌  作者: 実嵐
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過去からの水平線

若槻がまだ警察に入って間がないときであった。交番で働いているときでもあって疲れもたまっていることと吐き出しあっていた。それは非番の時に限られた話だったが、武田も似たようなものだったといってよく今のようにあっていた。大学の時にバイトをしていた居酒屋にいっては愚痴を言っていた。それを喝を入れたりするのはもっぱらおかみさんだった。酸いも甘いも知っているのをわかっていた。その時に言ったのだ。パーソナル環境開発が何故つぶれたのかといったほどだ。内定者をたくさん作っておきながらつぶれるを待つのはお粗末すぎると思ったのだ。誰かが計画的に動かしていたとすれば打点がつくような気もしていた。

「お前にとっての無念っていうのも晴らせばいいんじゃないのか。刑事としての誇りとは何ぞやなんて解く必要はないかもしれないがな。」

「なんだ。辛気臭いことを言って。武田も専務になって変わったか?」

「変わってねぇよ。根本はな。安い責任なんて言うのは誰でも言えるが本当の責任っていう閉め方をするんじゃないのかって考えているんだ。俺なりにな。」

榎並の件で騒がれているのだ。桜銀行としての処分は出ていることもあってあまり触れられていない。頭取の扱いも危うくなっているらしく、銀行内ではあらぬ噂を立てるものも上がっている。特段、SNSを止めているわけではないから漏らされるものもある覚悟だ。内部告発を取り締まったところで中身が変わらないと思われないよりかは全て見せて判断してもらおうとしているのだ。

「頭取には俺を降格してくれって頼んでいるんだけど、無理みたいだ。俺の責任じゃないし、榎並渉が全て自己主導したものまで裁いていたらきりがないって言われてしまったんだよ。」

「個人の関係に上司がかかわったら何処までいなくなることやら・・・。」

グラスには汗をかいているのかぬれていた。いったんグラスを返して再びコーヒーを買った。席は武田がとっておいてくれるからできる荒業といったところだろうか。若槻はアイスコーヒーを2つもって来た。

「お前、カフェラテじゃなくてよかったのか?」

「あぁ、似た味なら作れるからな。それでいいんだよ。で、コーヒー1杯はお前の奢りな。」

「わかったよ。」

気が済むまで話すのがいいと思った。責任という形の在り方を悩む奴がいてもいいと思った。手前勝手にやめるよりもいいと。不祥事を起こしたからといってやめるのはたやすいことなのだ。逃げていると変わらないからだ。あとにつながるのは残った人達だ。

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