過去の遺言
「運営会社ってのはある意味客商売だもんな。客のクレーム対応もする設備くらい設置していなかったのかな。」
「まぁ、あったんじゃないのか。俺もリーチっていうサイトがいまだに開設されてるって聞いて開いてみたんだよ。お問い合わせとかあっても文字が小さかったし手続きが面倒なんだよ。それでやめるというやつも多いんじゃないのか。」
武田に言わせれば自分の登録されている名前から何処の部分がどういう理由でいけないのかを一から書かなくてはならなかったらしい。時間があるか自分のことにかかわっていないと動かないといった。ハローバルについても今回のこともあって会社のサイトを見たのだという。お粗末さが分かったといった。
「クレーム係なんて名前だけで写真を見たら驚くぞ。」
武田はその場でスマホを取り出して見せてくれた。違和感を持ったのはクレーム対応をしたとされる社員の言葉だった。よくわからない人を相手にするので大変だと書かれていた。本人目の前じゃないからそうだろうと思えた。運営会社だ。削除するだけでいいのにその訴えた本人にあったとされている。まるで口止めをしたかのようにも思えた。
「俺はこれを見て、ハローバルは終わると思ったよ。たぶん、だけどな、会社の関係者の言葉だったりしたら金を払っているんだよ。警告もなかったことにして自分たちのために利用していた。」
「そりゃ顧客のことも当時話したがらなかったわけか。」
「そうだよ。」
武田もまた新人の時に法人の顧客を歩き回った。行くことになった会社のサイトを見る習慣をつけたのだ。最初の時はえらく嘆いていたが、今じゃその無駄だと思っていた行動が全てかかわってくる。
「俺はつぶれる会社くらいは予見できるぜ。まぁ、一言言えるのはあのーパーソナル環境開発は俺が見たときにはつぶれるような会社じゃなかった。膨大な投資をしていたわけじゃなかったし、銀行が新規事業でも金を出したということがその結論だ。」
知り合いに聞きまわったという。そしたらその当時、パーソナル環境開発の新規事業に金を出したといったのだ。その時に付き添っていたのが榎並邦彦だった。彼は弁護士でもなし、取締役でもなかったのについていたのだ。当時はもうすでに国会議員であって優遇してくれと頼み込んだといった。武田はパーソナルのバランスシートを見た結果も含まれている。
「あれは意図的に壊されたとしか言えないな。倒産だなんて驚くに決まっている。社長も自殺した事案だ。お前も不思議がっていただろう。」
水で薄まったカフェオレの色が透明になった時に若槻にはわかったと思った。




