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叫騒の歌  作者: 実嵐
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歌声は聞こえるとは限らない

ため息交じりに捜査一課で働いているだけで場所が違うっていうので此処までなるのかと思ってしまった。青年は声をかけられたため、急いで行ってしまった。取り残された形になっても何処にも寂しさみたいのがあるわけでもない。ただ、若槻と刑事部長との因縁だけは感じ取ってしまえる。手にとってつかむようになる。やけくそになったら事件が解決するなんて思ってもいない。自販機コーナーを離れた。小さな場所にせせこましくいる。

「あぁ、益子、ちょうどよかった。今日は帰れってさ。うまい酒でも飲んで明日へ来い。」

「わかりましたが、どうかしたんですか?」

「頼んでいる奴がまだデータの解析がまだだといってきてな。明日までにはって言っているから。」

間瀬は待ちくたびれたのか疲れ切った声をかけた。間瀬の経歴は一時期聞いたが今は関係ないと思っている。

「間瀬さん、飲みませんか?」

「俺はいいよ。まだ事件解決してないし。俺にとってはご褒美だからな。」

何時も晩酌をしていないのだというのだ。間瀬に声をかけて俺は帰り支度を進めていく。鞄にざっくりと入れて出て行った。捜査一課の連中は嫌味や陰口を言っているが、昔はきっと気にしていただろう。今は気になることはない。捜査では人数が多いだけで何も得られていないのだ。歩道を照らす明かりを眺めて帰った。暗い中に映るものを見つめた。空を見上げても星は見つけることはない。他の明かりが邪魔になってしまっているのだろう。商店街の路地に入ったところににぎわった居酒屋があった。ドアを開けると、大きな声がかかった。

「いらっしゃい。あら、孝人じゃない。帰りでしょ。」

益子の母親が大げさなくらいの反応を返してくるのが嫌になる。店は益子が生まれる前からやっていることもあってか景気が悪くなっても固定客は外れないのだという。カウンターの端へと座った。

「今日は若槻さんと間瀬さんは一緒じゃないの。」

「まだ事件を捜査し始めた段階で打ち上げとのタイミングじゃないから。・・・とりあえず、ビールが欲しいけど、チューハイにするよ。」

「わかったわ。いいわね。警視庁に働くっていうのも。地方に飛ばされたときは心配したんだから。」

忙しさで言い捨てるように言っていなくなった。益子の父親は寡黙に料理を作り続けている。隣を見れば常連のお客さんがもうすでに出来上がっていた。

「お前も此処を継ぐのかと思ったけど、弟に継がせてお前は刑事か。いい兄弟だな。」

弟は今は修行をするために居酒屋を継いでいない。益子は幼いころから料理というものに興味が一切なかった。弟が興味があり、母親の後ろをついて回ったり父親の後ろにもいた。系統が違ったで済む話なのだ。

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