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叫騒の歌  作者: 実嵐
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薄い覚悟と安い責任

刑事部長は何処か逃げる場所を探すようにして出て行ったのを見て、遠藤が入って来た。

「あいつは誰もがやっているとは言うがな、まぁやっている連中がいるのは確かだが、あいつだけ規模が違うんだよ。消した事件もなん十件となる。その中に暴力団と詐欺師が混じっていたら警視庁もやっていけないから動くに決まっているだろう。」

「ですよね。・・・生稲から情報源が上がっているので安心してください。」

「心配しちゃいないよ。うまく動いているかをまさか鑑識が監視しているなんて伝えなくても理解しているだろうし。」

若槻の机にある椅子に座った。くるくると回す様子は子供のようにおどけた姿を見せてくれるのだ。事件も終盤ではないかと思っていた。榎並渉の死によって明確になっているものがある。それは抗っても抗っても無駄なだけであったりするのだ。榎並邦彦はどうやって今まで回避していたのだろうか。刑事部長だけの力じゃもろいから上の連中の力も頼っていたのだろう。パーソナル環境開発によって人生を狂わされた人もいるのだ。それを思えば早く行動して解決へと導けていたらよかったのだろうか。そんなことを思っても当時いた刑事は命令に従ったまでだと堂々と悪びれず言うのだろうか。何処までも何時までも愚かな言い訳を言い続けたところで救われるとでも思っているのだろう。益子はたまったものじゃないと思うしかなかった。

「嘘を言って納得させたところで最初は聞いていられるんだよ。たった一回の嘘が積み重なるとオオカミ少年となってしまうんだよな。」

「政治家も同じですよね。国会じゃあデータ改ざんもなかったことになっているし、なぜか野党のほうが悪いといっているが国会という場を軽視しているのはもっぱら与党なのに・・・。愚かですよね。憲法を違反していても説得する気もないのにやらないのは意図しすぎて・・・。」

裁判も今や小道具の一部となっているらしく、裁判を早めに終わらせるのがいいとされているらしい。冤罪が生まれても責任を取るつもりなんざないのだろう。立派に作り上げた証拠でも首を縦にうなずいた時点で人の人生が決まるということも何の価値も持たないのだろう。まるで敵をあふれさせているように見えてならなかった。誰が一体正すのだろうか。全うに動いているところはあるのだろうかとも思ってしまうのだ。あらかた間違いではないのだろう。人をののしって得た力はきっと同じ力をもってかえって来る覚悟もない。

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