壊れた砂の塔
益子は若槻に伝えることを伝えたら仕事を一定的になくなったのは同じだ。榎並邦彦が簡単に認めるとは思えない。言い逃れを言うに決まっている。義理である息子を殺しておきながら何食わぬ顔でのうのうと暮らすのだ。政治家であることをいとわない人物だと思った。間瀬は確か榎並邦彦について調べていたことを思い出した。警視庁へと向かった。間瀬は疲れ切っていたのかぐっすりと寝ていた。起こすのはいけないと思って自分の机に置いてある椅子に座った。座った音に気付いたのかあくびをした。
「なんか気づいたか?」
「榎並邦彦についての生い立ちみたいなのってわかりませんか?」
「わかるぞ。」
間瀬は机の引き出しから資料を取り出した。複数見えるため、人数分用意されているのだろう。資料を覗いた。そこ書かれていたのは普通の家庭だった。榎並邦彦は榎並物流という会社の息子の次男として生まれた。幼いころから父親は会社は継がせないを口癖だったという。母親はもっぱら会社の手伝いとパートに出かけていたのを知っていた。その当時にしてみれば裕福な家庭だったこともあった。中学校に上がって急に父親の帰りが遅くなったのだ。長男と出て行ったまま、次の日にならないと帰らないこともたびたび起こるようになった。母親が理由を問いただしたら釣りに行っていただけと悪びれずに言うだけ。社長であることに対するプレッシャーに押しつぶされそうだったのが含まれる。祖父の代からあったのをたたむわけにはいかないというものが薄れていた時期でもあった。父親はそれでも続けることができた。株を発行している半分をもっていることもあった。榎並が大学に行ったときには榎並物流はその土地では有名になって行った。それはネット社会になりつつあるということも関わっていた。経営について未知数であることもわかっていたので会社を作るということは博打と近いと認識していた。長男は会社になじみ、社長候補と呼ばれてもいたが、謙遜していた姿に次男は怒りを覚えた。父親は熱心に会社や事業について教えるのは長男ばかり。母親は昔と変わらず会社の事務として働いていた。大学を卒業後、すぐに会社を作り上げるために仲間を集めた。集めたといっても3人だ。ほとんどが就職してしまっていたからだ。小さな会社から徐々に名前を憶えてもらって大きくすることができた。実家の近くに榎並物流よりも融通の利く建物を作った。流れないかと期待をしたがうまくいかなかった。それでも拡大をしていくうちに榎並物流の融資を行っている行員に会うことができた。そこで聞いた話では融資は難しいというのが実態だったのだ。赤字が続いていてワンマン経営だった会社にメスを入れようにも入れることができないと嘆いていた。融資の取りやめを聞いた榎並は榎並物流が受け入れていた会社を全て受け入れるというと映るようになった。そのうち、榎並物流は倒産した。




