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叫騒の歌  作者: 実嵐
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過去の音を聞く

部屋の異様さに逃げ出したのかもしれない。榎並と結婚したのは脅していたことにつながったのだ。

「話が聴けて良かったです。有難うございました。」

「私はこの程度でいいんでしょうか。息子を亡くしましたが、立ち直ろうとしていたことも妻から聞かされてました。一からやり直すと。険しくなるのは目に見えているが、逃げるのもやめると。」

渉にとってはいい機会であったのは確かだ。それを妨げようとした人物がいる。それによって殺されたのだと思った。小田切と別れた後に益子は若槻に電話をするために携帯を持った。外は喧騒によって騒がれているが、離れてみたときにどう思うのかと思った。つらい現実から逃げ出すために行ってしまったのかもしれないが、榎並渉は詐欺行為を行っていなかった。今や詐欺をするために海外に行ってしまうらしい。コンビニへと向かった。新商品が積まれていた。時が流れるということはこういうことなのだと。陳列されていたペットボトルのコーヒーをつかんだ。レジへともっていき現金を出して買った。小さな袋に入れられている。再び携帯を持った。次はかけた。

「もしもし、益子です。」

「情報を得たか?」

「はい。榎並渉は高校の時に詐欺のかけ子の仕事を仕掛けたときがあって、その時の資料で見た可能性があります。結婚もそこに仕組まれたものだと考えると殺されるのも夫婦の仲が良くなかったのも全てつじつまが合います。・・・、それと思ったことがあるんですけど・・・。」

益子は小田切と武田の話を聞いていてずっと考えていたのだ。ハローバルとパーソナル環境開発の倒産、全て榎並邦彦が牛耳っていたのではないかということだ。

「あり得るな。むしろ、それが事実だろうな。パーソナル環境開発は榎並が株主だったこともわかっている。捨て金でもてあそんでいたとしたらどうだ?」

「ですね。・・・生稲から連絡がありましたか?」

「あった。高級料亭でハローバルの社長と会っていたんだと。そこに桜銀行の融資担当と思わしき男性も入っていたから桜銀行での悪い噂を払拭したいに違いないな。料亭でわけを話したら入れてくれたらしくて、隣でボイスレコーダーで録音中と来たわけさ。・・・いい仕事をしているな。やっぱりあいつをやめさせるべきじゃなかったんだよ。」

若槻がうれしそうに言っていた。生稲がもっているボイスレコーダーは間瀬のパソコンに逐一入っていく特殊なものだ。鑑識とデータを扱う部署が共同で作ってくれた特注品だ。メーカーにも秘密で作ってものでもあるので高価であるのは確か。

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