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叫騒の歌  作者: 実嵐
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飛空

「あと、妙な事を聞いたって同期の奴が言っていたみたいですよ。結婚するとか話になった時に。」

「妙な事?」

益子にとっては真実に近づいている音が聞こえているような気がした。榎並は公にならない程度で話していたのだろう。自分がいずれ殺されるのが目に見えていたのだとしたら・・・。

「高校の時の代償だって言ってましたよ。友達から高額のバイトがあるって言われていったみたいで、それが廃墟ビルに行っておじけづいてしまったといってました。たまたま資料を見たら誰もが知っている名前を見つけたと。」

「それが榎並邦彦で脅していたとしたら・・・、全てのつじつまが合うな。」

代償を受けたのが好きでもない女性との結婚だった。お嬢様で育ったうえに父親の会社を受け継ぐ前だったので見習いではあったが態度も大きかったのかもしれない。他の社員は面白くないに決まっている。腫物扱いをするだろう。それでやめるとはいかないが籍を是が非で残させたのかもしれない。榎並邦彦には知られたくないことばかりだっただろう。高額な額を脅されるよりはきっと身内に入れ込み、指示に従わせたのだろうから。会社からクビを受けたことでやり直すことにしていた榎並渉は榎並邦彦にとって警察に全てを話されるのは困るだろう。ドアがノックされる音が聞こえた。

「来ましたよ。榎並渉の実の父親の小田切修平です。それじゃあ俺はお暇させてもらいますね。」

益子の肩をたたいた。力強かった。武田は席を外して入って来た小田切に席を譲った。

「なんの話をされていたか知りませんが、私に声がかかるのは渉のことだと承知の上です。週刊誌に載った以上は覚悟もあります。」

席に座るなりすぐに言った。益子は立ち上がってコーヒーを注いだ。武田がやったように。小田切の前にコーヒーを置いた。すみませんといった。

「貴方は渉さんを幼いころ、暴行したという話が上がったのですが、本当ですか?」

「えぇ、事実です。小学校の時まで殴ったりして行き過ぎたしつけをしていました。それもあってか高校の時には悪い連中とつるんでいましたよ。」

「後悔なさっているんですね。」

下を向いた顔を上げようとはしなかった。小田切の胸の内は聞きたかったのだ。高校の時に詐欺に加担しかけたのを自分の力で逃げ出した。渉には警戒する力があったが、逃げたが履歴とは残ってしまう形になってしまったのかもしれない。

「詐欺とかの話は聞かされていませんか?」

「廃墟ビルに行って電話をかけそうになった瞬間に逃げたと。」


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