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叫騒の歌  作者: 実嵐
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傷の功績

益子はそのまま警視庁へと向かった。若槻のことが事件に深くかかわっていそうで仕方がなかった。遠藤もバカじゃないのは知っている。むしろ、鑑識としての腕もさることながら、人の良し悪しも少し見ている部分があるのだ。間瀬は休日出勤はいとわずにしているのが分かる。

「戻って来たのか。」

「はい、信じられない話を聞いた気分でした。」

「それでも事実なんだよ。嘘偽りもないな。若槻さんは親に会うこともなくて親戚に育てられたことでそりゃ受けたものもあっただろうが、今刑事として動いているのは偽りもない事実。それも被害者に向けた行動だったり、加害者も見ているのも自分に近しい動きがあるのを知っているからだ。」

間瀬は若槻との付き合いが長いからか少し不愛想に見えることもあったのだろう。ゆがんだ思考も持たなかったのは何故なのだろうかと思った。ぶれそうになった時に誰かが何かを言ったのだろうか。二課の連中がドタバタと走っている。こちらにも来た。

「知ってるか。榎並渉が詐欺師とつながっていること。」

「はい、俺たちが調べたことですから。」

「情報網は若槻さんってことか。誰かに頼まれたんだろうな。」

二課の人はそのまま去っていた。榎並渉のことが週刊誌載っているということだろう。確か、若槻には桜銀行で顔が聴く人がいると漏らしたことがあった。そのことに対して何の疑いももっていなかった。

「桜銀行の人とつながりがあるんですかね?」

「あるさ。あの人の同級生が桜銀行に勤めている。それも専務だっていうんだからな。俺は畑違いかと思ったけど、会ってみたらあの人の友人だけある。見下した言い方をしないからな。」

専務に会ったことがあるのだろう。考え深そうに言った。榎並渉の過去を追ってみたら何故脅すようになったかが分かるかもしれないと思った。榎並渉について間瀬に調べてもらった。養護施設までいかないが、児童相談所が動いた形跡があった。父親が暴力をふるっていたのが母親から子供に映った時期があったというのだ。その父親は大ごとになるのを恐れて相談所の職員が来る度に演技をしていたのだろう。保護されても解除されるを数回繰り返していた。その父親は桜銀行に勤めている。真面目で有名であった。成績もよくて後輩からは崇拝されるくらいの営業実績をもっていた。今では難しいと思われるくらいだ。その父親の暴力は渉が大きくなるにつれてなくなっていた。それは渉が悪事に少し手を貸したからだ。


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