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叫騒の歌  作者: 実嵐
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流されるもの、流すもの

若槻は少し騒がしい捜査一課の角でいたが、用事を思い出して間瀬に外に行くとだけ言った。それでもわかってくれているので淡々とすることができると思った。警視庁を出た後に携帯を持った。桜銀行の専務の武田のことだ。榎並の死にかかわってくることはないだろうが、聞きたいのだ。

「もしもし、俺だ。若槻だ。」

「俺も話がしたいと思っていたところだ。じゃあ何処かの喫茶店で会わないか?」

「構わないぞ。よくわかる店にしてくれ。まぁ、あとで連絡をくれ。忙しいだろう。」

電話口からため息が漏れていたからだ。武田は答えた後に切られた。行員として歩き回っていた時期も多かったこともあって道などには詳しい。刑事になったとしても歩き回るがよく見ていなかったり、近寄りたくなかったりもするのだ。数秒後、メールで喫茶店の地図が送られてきた。時間が書かれていた。武田が聴きたいこととはいったい何だろうかと思った。榎並の処分については刑事として聞きたいのだ。歩道を歩いていても何処かしらかに危険があるようにと思ってしまう。いくら気取った言葉しか言わない政治家でも目を向けるのが先だと。きれいごとで包んでいったい何になって返ってくるのかというのもある。テレビでは連日のように自分を過大評価をしている政治家が恥を忘れてしまったのかのようだ。一理、酒の所為もあったのかもしれないが、弁明書で反省もない政治家に自分のしたことが分かっていないのだと心底思われただけだ。全国ネットで自分は何も悪くないのに処分を受けるといっているのに近い。本当に考えた言葉なのだろうか。その場の感情だけで乗っけた安い言葉を連ねているのだろう。ビルというジャングルに迷いこんだとしても誰かに叫び声を聞かせても冷たい目をされるだけだ。他人事のように隙間風んのように迷惑そうな目をしているだけだ。いくら事件が起きても最初は体勢を施していたとしても風化をしてしまうのはわかり切っている。町の中でも時間が止まってしまった人、時間に追いつけなくてでも追いかけている人、時間と同じようにかけっこをしている人と様々なのだ。若槻はなんだかんだ思っているうちに喫茶店にたどり着いた。少し早かったのでコーヒーを一杯頼んだ。この喫茶店は豆に凝っているのか何処何処さんと書かれている。若槻はよくわからないためお任せをした。マスターが手際よく注いでいる。

「此処ははやっているんでしょうね。人が絶えない。」

「そんなわけないですよ。今はファミリーレストランの飲み放題とか頼んだりするから水ものです。」

若槻の行く喫茶店では同じような返答がかえって来るのだ。


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