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叫騒の歌  作者: 実嵐
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言い伝え

生稲のほうに若槻が足を運んだ。そこには熱心に資料を読みこむだけ読み込んで動くことができない刑事がいる。雑用にされてまた何時、懲戒処分という形をさせられるかわかっていないが時間だけが流れる。

「生稲、お前ならやれるか?」

「俺ですか?」

「そうだ。捜査一課という窮屈な場所で何もできない君だからこそできる仕事だってあるんだ。榎並邦彦を張っていればいい。適宜に情報を流してくれればいい。それだけの仕事だ。君は捜査資料を読みこんでいるし、鑑識に出向いているからわかっているだろう。・・・俺が責任を取る。好きなように情報を得ろ。いいな。」

語尾が強くなっていく若槻を見た生稲はその勢いに流されるように返事をした。今までもある程度は張り込みをしてきているので下手な動きはわかっている。ただ違うのは人数と情報提供だ。自信を無くしている生稲にとっては好都合だろう。張り込みをするのがいいことなのだ。

「わかりました。若槻さんの依頼なら聞きます。会議にもろくに出させてもらえないんですよ。刑事部長の指示だといっていました。」

「あのバカが無駄な指示をして・・・。」

つぶやく言葉の意味を知らないが刑事部長がしたことが引き金であることが捜査一課に知れ渡ったのだ。週刊誌が一時期だけ報じた形跡が残っていた。それをたまたまだが、捜査一課の一人が見てしまったのだ。それをリークした人間が特定できた。それ以前の刑事部長が若槻を見てなかったことにしたのだ。降格にもしなかった。それは捜査一課で動いていた人間の証言と鑑識の証言を聞いたからだ。むしろ、聞けとどやされて聞いたのだ。間違いを犯そうとしているのを歯止めをかけたのだ。その時に降格を望んだ1人が交番へと降りたのだ。一課なんて嫌だといって。リーチの事件によって関係者の人生を変えたのだと知っている人間はいまだに残っている。広がり続けている。

「いいか。君には才能がある。刑事としてのだ。それに誇りをもってやれ。恥じるな。あと、バカな行動は絶対にするな。」

「わかりました。」

「榎並邦彦は一筋縄でいく相手ではない。警察とつながっていることも考えられる。周りだけを当たれば棒にぶつかる。何故ならよく思っていない連中のほうが多いからだ。」

生稲に若槻は教えているようだった。国会議員に群がっている連中は金欲しさだ。金で有権者を誘導しているだけだ。それを途絶えてほしくないから投票しているに過ぎない。それが現実ってものだ。嘘や偽りでデータを改ざんしても悪気ない連中だからだ。ペテン師に会っていると思え。


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