嘘と事実
高木と話した後もう一度ハローバルに向かうと警察が来たと聞いてか仁王立ちをして立っていた。何処かでオーダーメイドしたであろうスーツを着飾っているようにしか思えなかった。受付へと向かった。
「会社に警察の方が来られるとまたマスコミが騒ぐんですよ。もう来ないでいただけますか?」
「それじゃああんたが事件に巻き込まれて死んだとします。その時に事件か事故かろくに調べなかったらとか考えないんですか。それにあんたに会いに来たわけじゃないんですよ。高木幸則さんに用事があったんです。あとは本人の問題じゃないんですか?会社は全てにおいて口を出さなければならないのですか?」
「違う。私は会社を思って・・・。」
「それは会社のためじゃない。自分の権威と自分を守るために過ぎないんですよ。」
社長は黙り込んでしまった。下手にいうと戦えないと思ったのだろう。
「榎並邦彦に頼ったとしてもダメですよ。俺は動きますから。昔、この会社は社員を見殺しにしたんですから。」
若槻は受付の響くような構造のところで大声で言った。それを聞いた株主らしき人物が小声で話し込んでいる。株主総会があったのだろう。だから、いたということを思った。会社の印象が再び悪くなってしまったのを見て社長はあたふたしている。
「何を言っている。そんなことをした覚えはないぞ。」
「そうですか。」
若槻は間瀬に電話している。パソコンによって表示しようとしているのだ。テレビやパソコンに映っている写真を見た。よくある集合写真に見えてしまうので顔の部分に赤くマルがつけられていて、ニュースで出された写真も出されていた。周りは一層騒がしくなった。
「丸で囲まれている方は高木幸喜といいます。お父様には了承済みです。彼は死後、此処にあった名義を消されてしまったんです。この会社は都合が悪くなったら消してしまうような会社なのです。」
そういった後に名簿が2つ並べられており、消えたことがはっきりとわかってしまう。社長が主犯なのだろうかあたふただけしてろくに声もあげられないような状態だった。株主が一体どういうことだと騒ぎだした。その場で対応した社長秘書は全く声もあげられなかった。若槻はその状況だけを見て自動ドアを出た。
「あれでよかったんですか?」
「いいんだ。株主も知っただろうしな。間瀬に高木あかねのことより上原信夫について調べろっていっておいた。あかねや幸則は関与していないな。」
真っ暗になった空を眺めて言った人工的に作られた光で豪華に見えるだけなのかもしれない。ぶら下がった明かりを見つけて思った。




