言葉の影響
「まぁ、それにしても権力っていうのは簡単に言いますけど、よくないですよね。」
「そうだな。検察もぼろ出してるしな。」
若槻がため息を含んだような言い方をした。聞いていると検察は公証人というのを出来レースで行っていたのだ。検察庁の中でいかに貢献したかで公証人としていたのだ。民間もなれるとうたっていながら、三百何人の中で数えるほどしかいなかったのだ。周知の活動もろくにしていなかったために悪事として利用していたのだろう。詐欺のようなものかもしれないと益子は思った。民間もなれるということを謳い文句にするだけして出来レースを用意していればいいのだ。それに加えて多額の金を手に入れることができれば満足なのだろうか。弁護士や司法書士の人間が知って受けても数少ないのであれば余計に受けなくなるし、情報をろくに流さなかったのだから悪用するつもりだったといっているようだ。
「間瀬、そうだ。高木あかねのスナックかバーを探してくれないか?」
「わかりました。お安い御用ですよ。」
「さて、俺たちは高木幸則でもあってみるか?」
「そうですね。あったら気分害しそうですけど・・・。」
高木は何故いまだにハローバルという会社にいるのであろうか。息子を殺したといっても過言でもない。そして、社員であったことすら抹消してしまったのだ。彼はいる理由を問いたいのだ。警視庁から出た後、ハローバルへといった。いった時間帯は仕事の終わる時間帯にも拘わらずあたふたとしているようでもあった。受付へといった。
「高木さんに会えますか?」
「えぇ、会えますよ。今日は遅くまでいる日なので・・・。」
「でも、彼はリーチの担当じゃなかったんですか?」
益子が素朴な疑問を言った。すると、問われると思っていなかったのか受付の人は少し悩んだ様子だった。沈黙を挟んだ後に言った。
「そうですけど、リーチの担当から外れたというわけではないと思っています。まぁ、詳しいことはわかりかねます。」
「ですよね。」
「お待ちください。今、連絡したら来るということだったので。」
受付の人が言った通りに受付近くで待った。若槻は帰り支度に急ぐ人達を眺めていた。以前、この会社は殺人事件よりも会社を守ろうとした記録が警視庁に残っている。担当していた刑事が戒めを込めて資料の中に自分のメモを挟んでいたのだ。それが警視庁全体に知れ渡っているため悪名としてあるのだ。高木がすたすたと歩いている。益子は高木に対する目が変わった。息子を会社に奪われた哀れな父親と。




