口先だけの嘘の契約
「そのビラに書かれている名前とかわかりますか?」
「あぁ、わかるよ。毎回もらわないと気が済まないからね。何処か無視をしているようにしか思えなくて、やるせなくなってね。頼まれてもいないのにビラを貼っていた時もあったから沢山あるんだ。裏から取ってくるから待っていて。」
置かれているコーヒーカップに手を添えた。ぬくもりを感じる。手の込んだ感じがはたから見ても思える。マスターがごそごそと音を鳴らしている。その音が鳴っているのだからだ。特定の場所においているのかすぐにもって来た。
「高木幸喜って書いているね。確かいっていたな。親も働いているって。」
「親も働いているんですか?」
「心あたりがあるのならこれもってかえってよ。解決するのを願ってるよ。」
飲み干したコーヒーカップを勢いよく置いた。お金を払い出て行った。益子はせかせかと歩いていた。高木幸喜の親がハローバルにいるのならそれは誰であろうか。表には出てこなかったはず。ビラを配っているのはもし奥さんだとして旦那はまだ働いているのだろうから。警視庁に戻って来た時にはまだ間瀬がパソコンを見つめていた。
「ハローバルのことを調べられないですか?」
「いいぞ。」
「高木幸喜の親がいまだにハローバルにいるということです。殺されたときに会社から名前を消されたそうです。少しでも探れませんか?」
間瀬は力強くうなずいた。ハローバルにいるのは復讐のためであろうか。会社は隠したかったのかどうかと思ってしまう。間瀬に調べてもらっているときに若槻が自分の机に座った。
「何か収穫を得たか?」
「はい、たまたま入った喫茶店で榎並の評判が悪かったです。脅すように契約をさせているそうです。クレジットカードの契約も使っていてガタイの悪い人とかが来るといっていたので確かです。刑事がよく近くを来ると聞いて次いでに聞いたんですが、殺された高木幸喜の親がいまだにハローバル働いているそうです。」
「お前、腕を上げたな。いい果実を得ているじゃないか。榎並邦彦ももっぱら選挙をした地域には帰ってきても金を脅しに帰ってくるから嫌だといっていた。」
榎並の家族は嫌われているのがまるわかりだった。金に糸目がなく使っているのだろうか。義理の息子は失態に気づかず、へらへらとしているのだ。それが何度も続いているのでやめさせたいと心底思っているように思えた。榎並邦彦は地域の活性化につながるようなことを行うことはなかったのだ。




