散りゆくもの
晴れた気持ちをもっているのかはわからなくなっている。事件にかかわる度に思うのは自己満足で終わってしまうのはあってはならぬことくらいだ。単純なことを思っては悩むしかない。きなれた私服を着た。初日にスーツで行ったら暑苦しいからやめろと言われた。若槻はスーツというよりはジャケットを着ているのでそこまで堅苦しいとも思わないし、私服だからといってとも思わないのだ。警視庁に行くしたくをした。事件については最初は盛り上がったが、今は興味を失ったのか扱わなくなった。週刊誌は気が向いたら上げているように思えた。捜査一課の部屋に入ると明らかに行き詰っているのがまるわかりの空気感だけが一人前にあった。それに加え、失態をしたことを週刊誌によって露呈されてしまったのだ。生稲が気持ちを切り替えて自分の得意な分野に重視し始めたのを聞いた。刑事部長よりも若槻が力をもっているので従ったらやめた奴よりよかったのだろう。愚痴を言うこともない。益子は通り過ぎようとしていると生稲から声をかけられた。
「益子、若槻さんに会う時間がなくて言えていないんだよ。感謝をね。だから、時間があったら空けてもらうように言ってくれないかな。」
「わかった。伝えておくよ。」
益子はいって間瀬はパソコンをいじっているのを見た。
「何かデータが上がって来たんですか?」
「あぁ、さっきな。若槻さんが桜銀行の気になる奴のクレジットを契約した人の前科を調べているんだ。若槻さんが言うには必ず何処か当てはまるだろうといっていて・・・。」
彼のパソコンには鑑識が使っているデータも入っているので、鑑識に出向く手間が少ない。クレジットカードの契約者に偏りがあると見抜いているのだろう。
「そういえば、若槻さんがお前に調べてほしい人間がいるみたいなんだ。」
「誰ですか?」
「榎並渉。義理の父親が榎並邦彦。国会議員らしいんだよ。義理の父親のほうは若槻さんが行くからお前は榎並渉のほうを行ってほしいってさ。」
「了解しました。」
益子が返事をしたとたんに間瀬のパソコンが動き出した。前科者リストにヒットしたらしい。その前科がついている理由が詐欺であったり横領であったり多方面のようで違っていた。金に関するものだった。
「これか。若槻さんが見つけ出したかったのは。・・・お前にこのデータをコピーするからこれもっていけ。話さざる負えない状況を作り上げている。」
「桜銀行もしかしとんでもない人間を引き入れたものだな。」




