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叫騒の歌  作者: 実嵐
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色の違い

おかみさんも長年飲んできたこともあってかお酒には強いのだ。ただ、人というのは限界があるのだと口癖のように言っている。口先では改善とか求めることは多いが、行動に移ったたとえは少ない。口先討論はくだらないほど簡単すぎる。おかみさんは眺めていて思っていたらしい。

「私も昔はこんな居酒屋をやる前は会社員だったの。けど、時代もあって結婚してやめてはみたけど旦那の給料だけやるっていう概念が何処かバカらしくなってね。店舗がつぶれたって聞いたから此処を借りてさ。やりくりしてみたら面白かったよ。子供には寂しい思いをさせたかもしれないけど、キチンと休みも取ったからね。自分の店って気楽なものだよ。ある程度の常連ができちまえば。」

おかみさんの行動力を誰も喜ぶ人はいなかったというのだ。冷たい目線だけをちらつかせているだけで全くなじむことはなかったのだ。おかみさんにとって会社で働くより手軽に得られるものも多かったのは事実だ。

「口で言うやつだけは臆病なんだよ。そりゃ自分がやっていないんだからとやかく言われる筋合いはないって言い切った時はすっきりしたね。食らったほうはだんまりを決め込むしかないんだよ。茶化す時間あるなら子供に費やせってな。」

神経が図太いだの思ったところもあったが、きっと守るものがはっきりしているからこそ迷わなかったのではないかと思った。幾多の困難を乗り越えてきたからこその気持ちもあるのだ。そして、客を見てきた。対面してきたが故のものもあったのではないだろうか。2人もバイトとして入った時に教えられたのは客の好みを知れと言うことだけだった。チェーン店で教えるようなことはいずれいっていくと言い切った。背中の大きさには驚いたほどだ。

「俺たちがバイトをしていた時にやらかした時に言ったのを覚えているよ。一生懸命して失敗したんだってな。謝っただろう。寛容になれ。大人げない姿を子供に見せびらかして何が面白いんだってな。客をしかりつけてさ。」

「確かに・・・。」

そのおかみさんに叱られた客は居心地が悪くなったのかカウンターに札を置いて出て行った。それ以来あったことはないが、バイトをしていた時に聞いたのは居酒屋に現れる厄介な客だと有名だったらしい。居場所をなくしては移動して点々としていた時におかみさんにかなり叱られてこなくなったのだ。会社でうまくいってなかったのを吐き出し口として利用していたのだ。会社をクビになったのを大学を卒業したときに聞いた。

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