栄光と天罰
「ずっと前からいってるけどな。お前ごときに刑事部長なんて器じゃなかったことに気づけなかった愚かさを呪えよ。権力を振り回しているのもどうかと思うぜ。仮面刑事部長。」
「なんだと。」
刑事部長が怒ったようであったのだ。若槻はそっけない態度をとった上でふらふらと椅子から立った。そして、顔を見たが、彼の怒りを沸き上がらせているようでもあった。若槻はただ見送っただけでもあった。
「あぁ、次いでにいっておくとね。そいつはさ、ある組織と関係があったらしいんだわ。俺の一言で上がってもいいよな。元相棒さん。」
茶化すような態度をして去った。きっとそそのかすのが狙いなのだろう。ある組織とはいったい何であろうか。そう思いながら間瀬を見つめた。間瀬は調べているのか目はパソコンだが、視線に気づいたのかこちらに顔を向けた。
「あの調子じゃあ若槻さん口車に乗っけられて最後よ。伊達につるんでいるわけじゃないんだよ。あの人は。だって、尾崎についても知れたんだから。」
「そうですか。標的にされた人はみんなやめて行ったんですか?」
「やめたかやめさせられたかどちらだよ。弱みを握られているとも知らずに吐いたものが大きな仕返しとなって返って来たんだよ。まぁ、警察の権威につながるようなことをした輩もいたみたいだよ。」
間瀬は眺めるように見てきたのだろう。怒りをはき違えた方面に向けているようであることを忘れて。それで怒り散らしたら動画付きで週刊誌のwebサイトに載ったという。抵抗の筋がなくなってやめたところで、天下り先も受け入れることなくてしまったらしい。そして噂で聞けばやっとの思いで見つかったのはブラックだといわれている会社の社員になるしかなかった。行きつく果てといったところだろうか。静かに働いていたが、過労死を起こしたのだろう。最近亡くなったのだ。
「人が足らないからといわれたところに行くしかなかったみたいだぜ。その人。自分の過ちを平謝りに過ぎなかったことをさらされたんだからな。まぁ、救いようのないものだったのかもしれないな。」
「その人の記事って見れますか?」
「見れるよ。名前もわかっているし、検索すれば簡単にヒットするものだからな。」
間瀬はしていたことを途中止めにして新たなサイトを立ち上げた。今でも残っているのか最初に持ち上がって来た。それを詳しく見ると2チャンネルでは炎上をたびたび繰り返していた後があった。SNSに載っていたのだ。それも同様だった。その人が何かを乗せる度に起こったのだ。家族も同罪の扱いを今も時折知っている人間が行っているようでもあった。天罰は果てまで続いたまでだ。




