加担やら加算
益子は金石のいる取調室にいた。金石は若槻に問いただされるよりかと思って話しているのだといっていた。
「隠し口座っていうものもあるんじゃないのか?」
「そりゃ、ありますよ。海外と日本と分けています。尾崎が友人のためにとか言って作ったんですよね。まぁ、かなりの額ですよ。株式投資もしたとか聞きました。」
「聞いたって誰から。」
二課の人は飛び出す言葉に敏感になっているようだ。爆弾発言をされたら動きも鈍ってしまうのではないかと慎重なのだろう。二課の人が向かいの椅子に座っている。益子は立っているが、疲れたという感じはなかった。若槻なら容易にこなすのは目に見えているからだ。
「尾崎ですよ。やめた後もこのことがあってずっと交流っていうか、続いていたんですよ。株に失敗しただの言ってましたけど、カードもパスワードも知っているのは尾崎だけですよ。あいつの名前で契約したから分け前なんて偽りだって気づくのが遅かったな。」
「本当にそうなのかはまぁ確かめさせてもらうから疲れただろう。」
「いえ、ホストとして客にいい顔しているほうが疲れますよ。此処は穏やかです。あのー、若槻っていう刑事ってきますか?」
「来るだろうな。あの人は伊達に刑事をしているわけじゃないからな。尾崎が首謀者じゃないかって言いだしたのはあの人だ。まだ、軽いだろうな。売上が何処まで削り取られているはわからないが・・・。」
金石は若槻に対して明らかに怯えているようだった。取り残された益子と二課の人はただ沈黙の中を漂っていた。同じ事件を扱っているのだととらえることができる。嘘偽りもない。
「貴方は若槻さんの下で働けてきっといい経験を受けているよ。」
「そうですかね。」
「俺はたまたま二課に配属されてさ、ふがいない人間を何度も眺めてきた割には何もできていないことを実感するんだよね。詐欺だとか金に関することだけで注意するだけしてもさ、詐欺っていうのは横暴するし、脱税っていうのは隠せばいいとか安易に思っていたりするから。」
ため息をつくように言った。詐欺は年々巧妙になっている。受け子などは逮捕されたりすることは多いが、組織全部を捕まえるまでは至らないことが多い。それも嘆きの一部なのだろう。それも高齢者から金を巻き上げることをする。元俳優とかいう人がウソ泣きをしていた。何度も詐欺に加担していたこともニュースに上がっているほどだ。うんざりしてしまうほどの気持ちがある。




