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叫騒の歌  作者: 実嵐
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事件の背景画

殺しかどうかはまだ確定されていないが、現場の雰囲気が殺しだといっている。若槻はずかずかと入っていく。鑑識が指紋やらやっている最中に行くのが定番だ。

「片桐、情報をくれ。」

「はい。」

呼ばれて何時ものように焦ったように動いている。鑑識で法医学もわかっているのでいつも若槻から声をかけられるのだ。若槻に名を呼ばれるようになったら一人前というところが鑑識の中にあるといっていた。

「該者の様子は?」

「撲殺ですね。固いもので殴られたようです。あとがハンマーのような形状です。司法解剖の結果は間瀬を通じて伝えます。」

「そう、間瀬に連絡しておくよ。」

若槻は衝動的に起きたものなのかを現場で見抜けるため、うろうろとしている。アパートの一室で起きたとは思えないくらいだ。物取りかどうかなんて見せかけに使われる手口でもあるので若槻にとって興味の範囲じゃない。

「片桐。」

「はい、パソコンをもって帰ったか?」

「いいえ、捜査一課の人はパソコンなんて関係ない。物取りだからといって帰りました。」

「じゃあこっちで引き取るからもってかえってくれ。次いでに解析してくれたらありがたいな。最悪、間瀬に任せる。」

片桐は若槻の指示通りに動いている。鑑識で言うことを聞いてもいいとされているのは若槻なのだ。益子はまだ下っ端という印象があるので参考程度にしか聞いてもらえない。

「やっぱり、使えないな。捜査一課っていう赤いバッチをつけてても被害者の思いとか持たないといけないんだよ。あれているから物取りだなんてお粗末だ。初期捜査の大切さを知らない。」

若槻はキッチンを眺めている。窓からは住宅街で騒ぎが起きたので野次馬の対処をしている警察官がいる。若槻は第一発見者を疑うかどうかは話を聞いてからだと口癖のように言う。

「それにしても匂いがすごいですね。」

「これだから此処らじゃ有名だったろうな。役所も出向いたんじゃないのか。小さな喧嘩はなくても苦情くらいは大家の耳に入っているだろう。」

「隣の住民に話を聞きますか?」

「挨拶くらいの関係だろうし、その辺なら捜査一課がするから流してもらって警備している奴に話を聞くぞ。」

「はい。」

狭いアパートを出た。ずかずかといっているようで後ろから探っている様子も感じ取れる。清潔感という言葉のままにしているうえに生真面目という文字まで見えてきそうな顔の男に声をかけた。

「該者の苦情は?」

「ありました。何度も言っても相手にしてくれませんでした。」

「あっそ、あんた建前で物事を見たら事件が起こるんだよ。気を付けてよ。先輩からの言葉だから。」

言い捨てるように言って若槻は去った。


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